クリス・ブラウンの告白に潜む闇をDV被害者支援団体が指摘
2009年にリアーナに対する暴力で逮捕された過去を持つクリス・ブラウン。ドキュメンタリービデオで当時の2人の関係や事件当日の様子について語った。これに対してDV被害者支援団体が猛抗議、クリスの発言に潜む加害者の特徴を指摘した。
ドキュメンタリービデオ「Chris Brown: Welcome To My Life」ではリアーナとの出会いから語っているクリス。10代の頃から付き合い始めたという2人。関係が変わってしまったのは、クリスが過去の女性との交際をリアーナに告白したのが理由だったという。「彼女は俺を信頼しなくなってしまった。そこから関係は下り坂になってしまった」「たくさん口論したし、肉体的に争うこともあった。2人とも暴力を振るった」と自分だけでなくリアーナがクリスに暴力を振るうこともあったと語った。
そんな状況が明らかになったのは2009年2月のグラミー賞の帰り道。車の中でリアーナはクリスの電話に女性からテキストメッセージが来ているのを発見、クリスによると「電話を投げ『あんたのことなんて大嫌い』と言って俺を殴った」「彼女が俺を蹴ろうとしたのを覚えている。それで俺は彼女を殴った。拳で彼女の唇を殴り飛ばしたんだ」。
このショッキングな告白を批判したのはDV被害者の支援団体「Refugee」。クリスは責任をリアーナに転嫁しようとしていると指摘、男性がパートナーに対して暴力を振るっていい理由は絶対にないと抗議している。
同団体のCEOは「関係がどんなに悪化したとしても、男性にパートナーを殴る権利はありません」「男性が殴るように女性が仕向けるということはありえません。暴力はその男性の選んだ方法であり、彼だけに責任があるのです」とも。またクリスの告白はDV加害者がよく取る手口だとも。「女性が自分に責任があるんだと思わせるのは、加害者が暴力や相手をコントロールしようとする行為から目をそらさせるために使う方法」だと指摘している。
「俺は自分がモンスターのように思えた」とも語っているクリス。改心していることを示したかった告白にも見えるけれど、クリスがDV加害者そのものだったことを知らしめる結果となった。
text : Yoko Nagasaka