BBCのインタビュー中に起こった爆笑事件、人種偏見論争に発展
韓国政治の専門家で釜山大学のロバート・ケリー教授がBBCのニュースにスカイプで出演中、子どもたちが部屋に乱入してきてしまう爆笑動画。SNSで拡散され世界中で話題になったこの動画を巡り、ある論争が勃発!
真面目な顔で解説する教授を気にすることもなく部屋に乱入してくる子どもたちのかわいらしさと、子どもたちを部屋から引っ張り出す女性の慌てっぷりが笑いを誘い、SNSで拡散されたBBCのニュース動画。すでに見ている人も多いはず。Facebookでは3億回以上も再生、なんと俳優のトム・ハンクスも拡散している。でもこの動画をきっかけに、ある論争が巻き起こっている。
この様子に、SNSでは「お手伝いさんが必死で笑える!」「乳母が気の毒だけど微笑ましい!」というコメントがたくさん書き込まれた。でも実は子どもたちを捕獲している女性は、ロバート・ケリー教授の妻のキム・ジョンアさん。無理矢理引っ張り出される4歳の長女マリオンが「ママー!」と叫んでいるにもかかわらず、ジョンアさんを「使用人」と思い込む人が、アジア人も含めて続出してしまった。当然、SNSには「『白人の家にいるアジア人=使用人』と判断するなんて、人種的偏見!」という意見が書き込まれ「なぜこのような思い込みが起きたのか」という議論も勃発している。
この動画をきっかけに一躍時の人になった一家はインタビューやテレビ番組に引っ張りダコ。あるインタビューでは「妻ではなくナニーだと思ってしまった人がいるけれど、どう思う?」という質問も。ケリー教授は「みんながナニーだと思っていると知って、いい気分ではなかった」と答えているけれど、ジョンアさんはもっと気楽。「この動画をもとに言い争うのではなくて、楽しんで見てくれればいいと思う。私はナニーではないし、それが事実。だから言い争わないでほしい」と人種偏見問題についてはさらりと交わしたそう。ちなみにこのインタビューでも子どもたちは両親の腕の中で暴れまくり! さらに一家で参加した記者会見では8か月の長男ジェームズが教授の髪をぐちゃぐちゃにするかわいいシーンも披露していた。
世界中の人をほのぼさせてくれたケリー一家。ジョンアさんの言う通り、楽しい気持ちで見るのにふさわしい動画であるけれど「アジア人=使用人」という先入観の根強さを思いがけず教えてくれた1本に。そしてその先入観が白人だけでなくアジア人の中にもあったことにも、笑わせつつ気がつかせてくれるという貴重な1本になった。
text : Yoko Nagasaka