南部鉄器を使った料理とともに楽しむワイン
アルル/aruru
渋谷駅から徒歩15分ほど、松濤美術館の裏あたり。繁華街からほど近くにありながら落ち着きがあってどこか物語のなかのような雰囲気を湛えるエリアに佇む 「アルル」。飲食業に携わって20年ほどの間、岩手の食材に魅せられてきたという店主のヤマモトタロヲさんが2011年10月にオープンしたこちらでは、 岩手の南部鉄器を活かした料理とともに自然派ワインを楽しむことができる。
「野菜や魚介など、ずっと岩手の食材に惚れ込んできました。自分で店を始めるにあたって、岩手の食材だけでなく産業も紹介したいと南部鉄器を使った料理を メインにすることにしました。焼き物にしても煮物、蒸し物にしても、南部鉄器を使った料理は素材そのもののよさを引き出すことができる。岩手をはじめ全国 をまわって探した生産者さんの野菜や、毎日築地から仕入れる新鮮な魚介などを活かすにはぴったりなんです」(ヤマモトさん)。「こだわり野菜のバーニャ フォンデュ」(¥1,300)に「漁師風リングイネ アクアパッツァ仕立て」(¥1,850)など、ヤマモトさんが考案し、現在キッチンを主に担当する荒木貴光シェフが腕を揮う “南部鉄器料理”は、国もジャンルも関係なく、旬の食材のもち味がしっかりと感じられるメニューばかり。「その料理を邪魔することなく、食材を活かした味 わいに寄り添うワインを、と探していたら自然派に辿りつきました」(ヤマモトさん)。
ワインは自然派のみ、現在はフランスの生産者のものだけを揃える。「飲食の世界にいるうち、農薬を減らしたり、使わないということがワインをはじめ農業全 体についても、人の生き方としても自然なことという思いが強くなっていきました。飲んでおいしく、料理に合うということを前提にしつつ、 “自然派だから”ではなく、作り手の姿勢に共感できるワインを選んでいます」(ヤマモトさん)。とはいえ、“お客様のワガママ大好き”というヤマモトさ ん。「今日はガツンと飲みたい」「パワフルな赤を」など、さまざまなリクエストに応えられるようラインナップを揃えているという。また、「アルル」では料 理へのワガママも大歓迎。好みの調理法をリクエストしたり「風邪気味だからリゾットを」なんてオーダーもOK。ワインも料理も、どんどん気軽に相談してみ て。
オープン以来の人気メニューが南部鉄器のココットごと供される「アルルのキッシュ」。キッシュ生地なしのまるでスフレのようなふわふわとした食感は感動も の! このキッシュと山本さんおすすめの軽やかな白ワインでディナーをスタートすれば、幸せなひとときが過ごせること間違いなし。食後にはぜひ、パティシ エでもある看板娘の“エリコさん”こと大村絵里子さんによるデザートとともに南部鉄瓶で入れる和紅茶や日本茶を。
「アルル」という店名には、ゴッホが愛したフランスの地名のほか、空想の女の子の名前、響きのかわいらしさなどさまざまな意味合いが込められている。南部 鉄器、自然派ワイン、日本全国の有機野菜にお茶。また、アンティーク好きのヤマモトさんが揃えた東西の古い物たちが作り出す「アルル」だけの空間で、“お いしい時間”をどうぞごゆっくり。
SHOP INFORMATION
14:00~23:00 (L.O.)
隔週火曜/18:00~23:00 (L.O.)
ドリンク/24:00 (L.O.)
月曜
photo : Tomoko Osada, text : Naoko Monzen