新時代の熱い思いが、日本のコーヒーを変える
ノージー・コーヒー/NOZY COFFEE
従来のコーヒー専門店の”堅苦しさ”を排除し、空間重視のカフェとも違う。店舗もメニューもシンプルに、自家ローストの”豆の個性”を打ち出した一杯で、新しいコーヒー文化の創造を志す世代が注目を集めている。
2010年8月、当時まだ20代の4人がオープンした東京・三宿の「ノージー・コーヒ」は、そんな新時代を代表する一軒。ここで扱うのは、ブレンドしない単一の農園で生産された”シングルオリジン”のみ。ブレンドでは味わえない、豆の個性をそのまま感じられるのが醍醐味だ。例えば、同店で扱うコスタリカ「エル アルコン農園」の豆は、フローラルで洋梨のような風味に、シルキーでなめらかな口あたり。甘いナッツの印象もある。
「ワインや日本酒は、レストランのメニューに産地や生産者の表記がある。でも、コーヒーはカフェでもまだ、”コーヒー”と、ひとくくりが多い状況。国や農園ごとに、いろいろな味わいがあることを知ってもらいたいんです」
そう語るオーナーの能城政隆さんんは、大学在学中にフェアトレードの研究室に参加。しかし知識が深まると、この善き理念の難しさにも直面した。
「例えば、品質と価格のバランスです。おいしいと感じていないのにフェアトレードで買うのは、チャリティになってしまう。お客さんがおいしいから買いたいと思い、生産者が”おいしく作れば、高く売れる”とモチベーションを保てる環境を作りたいんです」
豆の違いを広めるため、だれでも参加できるカッピングも開催。プロにとっては品質管理の作業だが、「好きな味を見つけるテイスティング」と気軽さを重視。フレンチプレスで淹れることを推奨するのも「店で体験した味を家庭で再現しやすいから」と、あくまでも上質なコーヒー豆に、気軽に親しんでもらうことを大切にしている。
コーヒー豆の個性を知り、その違いを気軽に楽しむ。そんあ新しいコーヒーライフが今育ちつつある。
SHOP INFORMATION
10:00~19:30
Photos : KIICHI FUKUDA