特集 2015/3/30(月)
世界のおやつ from London/五月ギャンブル

超シンプルなのにクセになるおいしさ! イギリスのおやつの原点「トリックル・タルト」

「これ以上シンプルなタルトはない!」と、言い切れるイギリスのデザート、トリックル・タルト。ハリー・ポッターの大好物としても映画に登場するこのタルトは、メインの材料がシロップのみというから驚き。その魅力とは?

トリックル・タルトを初めて見た時は、「ピーカンなしのピーカン・パイ?」、はたまた「アーモンドなしのアーモンド・タルト?」と、非常に興味をそそられた私。 一体何がこのタルトの売りなのかが知りたくて、ひと口食べてみると、答えは明瞭かつ衝撃的でした! そう、ただの固めたシロップ(=トリックル)がフィリングでした。笑

こちらは、レストラン「The Vine」にていただいたトリックル・タルト(5ポンド)。クレームフレッシュとマカダミアナッツが乗った豪華バージョン!

トリックル(Treacle)は、イギリス英語でシロップの意味。ご存じない方も多いのではないかと思います。というのも、アメリカに長く住んでいた私は、親しみを込めて人に「Honey」や「Sweetheart」と呼び合うことに慣れていたので、ニューヨークからロンドンに引っ越してきて間もない頃、ロンドンの下町で「Hello Treacle!」と声をかけられた時は、驚いてその意味を聞いてしまったのを覚えています。
 
さて、トリックル・タルトの作り方をご紹介します。熱したゴールデン・シロップにパン粉(breadcrumb)とレモン汁を加えて作ったフィリングを、タルト型に流し込ん焼くだけ! あまりに簡単なので誰にでも作れるはずなのですが、大手スーパーでもおいしい既製品が安価で入手できるので、イギリス人の冷蔵庫にはいつも箱入りのトリックル・タルトが常備されています。

そして食べるときは、お約束のダブル・クリームかクロッテド・クリーム、もしくはアイスクリームをタルトの上にたっぷりとかけるのがイギリス流です。パブやレストランのデザート・メニューにも必ずあるので、ぜひ食べてみてください。値段は4ポンドから5ポンドくらい。甘~いトリックルとイギリス特有の濃厚なクリームとの、シンプルでありながら絶妙な味わいは、やっぱり飽きのこない王道の組み合わせ。真夏でない限り常温で2~3日は持つので、私は帰国するたびにおみやげとして買って帰っています。

「ただの固まったシロップじゃないか!」と、あなどることなかれ。この素朴さがゆえに、永遠にイギリスで愛されているご当地スイーツ、トリックル・タルト。ぜひ一度、試してみてくださいね。

  • 五月ギャンブル●Satski Gamble。ニューヨークのマグノリア・ベーカリーでケーキ・デコレーターとして修業する傍ら、ロック・バンドのメンバーとしても活動。ロンドンのレ コード会社と契約後、渡英。著書に『ニューヨーク仕込みのカップケーキとデコレーション』。
    http://satskigamble.com/

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