イタリアドルチェ界の金字塔「ジェラート」!
「今日のランチは何にしようかな?」、「子供が熱で食欲がないんです。先生、何をあげたらいいですか?」、「今晩のおよばれの手土産どうしよう?」。イタリアではこれら全ての質問の答えは一つ。そう、それは「ジェラート」! イタリア人の「ジェラート」に対する思い入れは皆さんの想像以上。なぜなら「ジェラート」はイタリア人の文化を形成し、経済を支えている重要な要素だからです。
「ジェラート(Gelato)」と聞いたら、映画「ローマの休日」でオードリー・ヘップバーンがスペイン階段で食べていたシーンを思い出す人も多いはず。しかし「ジェラート」の歴史は映画が公開された1953年よりももっと以前にさかのぼります。
イタリア語で「凍った」という意味の氷菓を指す「ジェラート」。起源は諸説紛々としていますが、9世紀にアラブ人が砂糖をシチリアに持ち込んだのをきっかけとして、水やハーブ、スパイスと混ぜてエトナ山の雪と岩塩を活用して凍らせてシャーベットをつくったという説が有力とされています。アラブ人が氷を用いた飲み物のことを「シャルバート」と呼んでおり、それがイタリア語でシャーベットを表す「ソルベット(Sorbetto)」という言葉の語源であるということを考えると納得がいきます。ちなみにシャーベットとよく似たシチリアの氷菓である「グラニータ(Granita)」はシャーベットより氷の粒が大きいもの。「グラニータ」と日本のかき氷との違いは「氷自体に味をつけているか、それともシロップを後からかけるか」です。
さて、現在イタリアを代表するドルチェとして世界に広まっている「ジェラート・アルティジャナーレ(Gelato Artigianale:職人のジェラート。以降、「ジェラート」と呼びますね。)」が開発されたのは1533年。フィレンツェのカテリーナ・デ・メディチと後にフランス国王となるアンリ2世の結婚式のためにフィレンツェ出身の肉屋さんでお料理好きだった男性が牛乳や生クリーム、卵を使ってつくったのだそう。その後、時を経て、シチリア出身のフランチェスコ・プロコピオが1686年にパリにヨーロッパ最古のカフェとも言われている「ル・プロコープ(Le Procope)」を開店し、現在のような「ジェラート」が世界へ広がっていきました。
こんな歴史を持つ「ジェラート」。今ではイタリア国内のジェラート屋さんの数はなんと4万店近く。これは人口対比にすると、なんと日本のコンビニの1.6倍以上!! 2012年の失業率10.7%(若年失業率に至っては35.3%)の超不況下のイタリアでも、毎年成長し続けるジェラート市場。従業員数も2012年には前年比で2%増加しています。イタリア人の「ジェラート」の消費量は年間一人当たり約7kg! これに加え、工場生産のアイスクリームを約4kg食べていることを考えると、イタリア人がどれほどまでに「ジェラート」を愛しているかお分かりいただけるはず。
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Mari●大手経営コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして勤務後、2006年に渡伊。2人の男の子のマンマをしながら、「フェリチターリア」の通訳・個人旅行同行アシスタントとして、「食の都」ボローニャを中心としたイタリアの魅力を発信中。
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