ジュエリーも人気の旬デザイナー、エック・ソンプラサートに接近！
パリのコレットやロンドンのドーバーストリート マーケット、香港のジョイス、伊勢丹新宿店など、世界中の有力ショップで取り扱われ、今最も注目を集めるタイ・デザイナーの1人がEk Thongprasert（エック・ソンプラサート）だ。アクセサリーライン「エック ソンプラサート」と、ウェアライン「キュレイテッド」の両方を手掛け、中でもアクセサリーはパリやミラノコレクションのファッションスナップで、スタイリストのエリザ・ナリンやエディターのナターシャ・ゴールデンバーグなど、ファッショニスタがこぞって着用するほどの人気ぶり。そのアクセサリーが誕生したのは、彼が“初のタイ人卒業生”としてアントワープ王立学院の卒業ショー制作を手掛けたときだった。
「卒業制作でウェアとアクセサリー両方を制作したんだ。アクセサリーは、何百年前かのヴィンテージのインドのシルバー製ネックレスを見つけたのが始まり。“すごく素敵なのに忘れ去られているものを今のファッションに取り入れるには？”と考えて、ネックレスの原型はそのままに、カラフルなシリコンゴムで制作したら、それを見たバイヤーが気に入って、その場でオーダーしてくれて。その後まもなく、ドーバーストリートマーケットでも販売されるようになったんだ」
ここ数シーズンは、ゴージャスなファインジュエリーのフォルムをもとに、シリコンゴムとキュービックジルコニアの異素材をミックスしたキッチュなネックレスを新たに手掛けている。「コンセプトは、どこでも着けられるストリートなファインジュエリー。アクセサリーは、小さな彫刻を作っている気分で手掛けている」

一方、ウェアラインは異なるアプローチを取っている。「ブランド名に『キュレイテッド』と付けているように、キュレーター感覚で毎シーズン異なるアーティストの作品をピックアップし、そのアイデアをウェアに落とし込むんだ。2013春夏シーズンは、アメリカの彫刻アーティスト、リサ・ルウのキッチンをテーマにした作品がインスピレーション。どの女性も専業主婦が当たり前だった50年代のスタイルをベースに、プロポーションやディテールをモダンにアレンジした。プリントにもパスタ、フォーク、お菓子など、キッチンに欠かせないアイテムを登場させたよ」
バンコクの旬なブランドが集結するショッピングタワー、サイアム・センターには、ウェアラインのショップが入っている。「僕にとってショップはアートスペース。コレクションテーマに合わせて、シーズンごとに内装をがらりと変えるんだ。今はグレイッシュでミニマルな雰囲気だけど、先シーズンは店の真ん中にフラワーガーデンを作ったり。什器も移動式だし、実験室のような気分で楽しんでいるよ」
趣味は国内外での美術館巡りと写真集収集。ミューズはティルダ・スウィントンやケイト・ブランシェットなどのマチュアでクールな女性。強い個性のエッジーなスタイルに、ますます注目が集まっている。