世界が注目するタイ・デザイナーに直撃!
アジアの最熱ファッション都市として、世界からの注目を集めているバンコクで活躍するファッションデザイナー3人を現地取材。欧米でファッションを学んだ彼らが作る最新トレンドは、すでに世界のセレブやファッショニスタもとりこに! 若くして成功したデザイナーたちの生い立ちやキャリア、インスピレーション源に迫る!!
世界のファッショニスタが夢中!「スレトシス」のクリエーション源とは?
旬のタイ・ブランドとしてまず名前が挙がるのがこちら、英語の「姉妹」を逆綴りにしたブランド名の「Sretsis」(スレトシス)。現在、日本では30店舗、NYやLAのセレクトなど世界各国200店舗で取り扱われている人気ブランドだ。デザイナーは次女のピム。小さい頃から自分の服をカッティングしたりカスタマイズするのが好きだったという彼女は、当初イギリスでマネージメントや情報システムに関する勉強をしていたが、19歳で元々好きだったファッションのポートフォリオを持って姉妹でNYへ。ピムはパーソンズに入学し、現在ビジネスを担当している長女クライはニューヨーク大学(NYU)でファッション雑誌の出版などを学び、ジュエリーデザインを担当する三女マティーナは、ジュエリーデザインの勉強をNYでスタート。父親は警察官、母親は不動産関連という家系で、ファッションやアートに関するバックグラウンドはなかったといいながらも、ファンタジックな世界観が人気のコレクションは、幼少の環境が影響しているそう。「小さい頃に孔雀や鹿、猩々紅冠鳥などエキゾティックアニマルを叔父さんがケージで飼っていて。犬もたくさん飼っていたから、今もファッションシューティングで使いたくなるのね(笑)。あと日本のマンガもたくさん読んだわ! 『ドラえもん』が一番影響を受けたかもしれない」とピムがいうと、マティーナが熱く好きな一話を語り始めるという場面も。
シーズンのイメージは、いつも旅行や映画、音楽にアートなど様々な影響から生まれるそう。「見るもの全てがイメージソース! クラシックな古いものや新しいトレンドを混ぜてユーモアをツイストさせながら、自分たちの表現で面白くアレンジするんです。それらを通した私たちの視点を伝えるために、オリジナルのテキスタイルでストーリーを作り上げます。コレクションは全てタイ製というのにもこだわっています」とブランドの哲学を語るデザイナーのピム。よってミューズやアイコンもシーズンで変わるという「スレトシス」だが、ウェアと同じくファンの多いジュエリーラインを手掛けるマティーナは「私はロックスターのガールフレンドがイメージ!」とブレないのも対照的でユニーク。
2003年にバンコクで行なわれた“エル・ファッションウィーク”の若手デザイナー枠でショーをスタートした「スレトシス」。その後1年に1回のランウェイに参加し、2010年は自分たちだけのショーを開催。次なるステップは?と尋ねると、「日本でショーがしたい!」と姉妹が口を揃えた。「私たちは元々NYからキャリアをスタートしたので、NYやLAのセレクトショップで取り扱われるようになり、その後バンコクでオンリーショップをオープンし、今はオーストラリアやアメリカ、フランスにドバイなどに拡張しました。2010年に日本でのマーケットが開かれましたが、東京でショーを開催することで、より認知度をあげたいんです」と語るビジネス担当のクライ。最後にそれぞれのワードローブに欠かせない定番アイテムを尋ねてみた。
クライ「レザージャケット、ドレス、パンツ。そしてポニーモチーフは外せない!」
ピム「ブランドのアイコンでもあるオーバーオール。そしてカットオフデニムとジャケット。かわいいドレスもマスト」
マティーナ「花柄のドレス、刺繍シャツ、ミニスカート、プラットフォームシューズ。あとネックレスは毎日着けています」
と三人それぞれが着けているネックレスを見せてくれた。長女は月、次女は星、三女は太陽のモチーフを愛用しているそう。仲良し姉妹が繰り出すコレクションは着る人をハッピーにするパワーにあふれている。
text: Makiko Awata (P2)