アン・ロー : ジャクリーン・ケネディをファッショニスタに育てた悲運の女性デザイナー
2016/11/24(木)
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Photo : Getty Images

“アメリカの王室”の花嫁が着た世紀のウエディングドレス

それはジョン・F・ケネディが大統領に就任する7年前。1953年9月12日、24歳のジャクリーン・リー・ブーヴィエと36歳のジョン・F・ケネディ上院議員の結婚式が開催された。披露宴の場所はジャクリーンの継父、ヒュー・オーチンクロスが所有する、ニューヨーク州ロードアイランドにあるハマースミス・ファーム。継父のヒュー・オーチンクロスの曽祖父時代に建てられたヴィクトリアン形式の28ベッドルームの邸宅を囲む広大な土地だ。披露宴の招待客は1200人。アメリカでは伝統的に披露宴や結婚式にかかる費用は新婦側持ち出しであったため、実家が裕福で教育、教養があり、美しく、若く、そしてカトリックである新婦ジャクリーンは、ジョンの父ジョゼフ・ケネディの政治的野心を十分に満たすものだった。
 

Photo : Getty Images

開催された結婚式でもジャクリーンはその美しさで周囲を魅了。これもジョゼフその他ケネディ一家の野心を満足させるに十分であった事は間違いない。
 
ジャクリーンのドレスをデザインしたのは、実母ジャネットが継父ヒュー・オーチンクロスと再婚した時のドレスと同じデザイナーだった。50ヤードのアイボリーカラーのタフタを用いたこのドレスは当時の費用で500ドル、現在の価格だと4000ドル(約43万円)くらいの手ごろな価格のもの。

Photo : Getty Images

ブライズメイドのドレスも同じデザイナーの手によるもの。しかも、このウェディングドレスとブライズメイドのドレスは挙式わずか10日前に発注されたという。結婚式及び披露宴の様子は大々的に報道されたものの、デザイナーの名前についてはほとんど触れられなかった。が、結婚式の様子を子細に掲載した当時の「ワシントンポスト」にだけは、こう触れられていた。「新婦のドレスはニグロ(原文ママ)、アン・ローによってデザインされたもの」。

Text : Ryoko Tsukada

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