仕事服は商売道具のひとつ! コミュニケーションツールと考えて
――よく「第一印象がその後の関係性を決める」と言いますが、仕事のコミュニケーションにおいても、外見が与える影響って大きい気がします。
吉田:そのとおり。ファッションは自分がどんな人物なのかを表現する手段。仕事においては立派な商売道具です。
私はもともと営業畑の人間で、若い頃はカナダやアメリカを営業で歩き回っていたの。その当時から、私にとっては世の中で起こっている事象すべてが相手の話題を引き出すためのコミュニケーションツールだと思っていて、ファッションも大事なトピックのひとつでした。「あら、素敵な色のシャツね!」なんてひと言からトークが盛り上がって、商談をブレイクスルーできたこともありましたよ。
――ということは、自分も相手が話題にしやすいアイテムを身につけることで、コミュニケーションがスムーズになる可能性が出てくるわけですね。
吉田:そう。私の場合、よく話題になるのがピンヒール。今年の6月に経団連初の女性役員に就任したときに、経団連のイメージと私のピンヒールとのギャップがメディアで取り上げられたことがあったんです。それからというもの、取材にいらっしゃる記者の方たちがことごとく、私の靴を見て開口一番に「これが噂のピンヒールですね!」と(笑)。私も冗談半分に「どうぞご自由に撮影なさってください」なんて返すんですけれど(笑)。
そんな小さなトピックから会話が弾み、お互いの距離を縮めていくことができたなら、しめたもの。特に新人の方は、まずは社内の先輩方やクライアントに自分の顔と名前を覚えてもらうことが第一の仕事。初対面の相手にも自分を印象づけられるように、自分をアピールするファッションアイテムやスタイルを少しずつ確立していくことを心がけたいですね。
-
吉田 晴乃(Haruno Yoshida) /
BTジャパン株式会社 代表取締役社長
カナダ、アメリカ、日本でモトローラ、NTT、ベライゾンとグローバルICT大手の営業最前線で活躍。その卓越した営業実績は市場の注目を集め2012年に英国最大手通信会社BT(ブリティッシュテレコム)に抜擢され現職。2015年6月より女性としては初の経団連役員に就任予定。シングルワーキングマザー、エクゼクティブ、と複数のわらじをはくグローバルキャリアウーマン。
text: Kaori Shimura