ホリデイ・グレインジャー in 『ザ・ブリザード』　Holliday Grainger in “The Finest Hours”
 
この方、ぷくぷくほっぺがまるで正月についた餅を食べている最中のようでかわいいオールドファッションなお顔をなさっているので、「わっ、美人～」とはならない、むしろちょっと転べば上の下から中の上に落ちる美人塩梅が絶妙。その天性の顔つきから『シンデレラ』などで性悪女を演じてもぴったりで、お仕事の幅が広がっている感じが。で、時代物をやらせたらピカイチ。それもきちんとした“形”のあるお芝居をなさるせい。子役上がりで実戦経験ご豊富なうえに、さらにきちんと文学として戯曲を学ばれたなんて、もう鬼に金棒です。
  

そんな彼女の実力がいかんなく発揮されたのが、『ザ・ブリザード』でクリス・パイン演じる船長が命がけで救助から戻ってきたのを出迎えるラスト際のシーン！　まず、海の向こうを不安を必死で押さえながら見つめる斜め左からのショットで、美しいプロファイルを見せつけると、その眼には出るか出ないかギリギリの涙が下まぶたの奥に控えているのであります。自宅だったので許していただきたいのですが、まずこのシーンで口を突いて「こいつ、すげー」と感嘆の声がでてしまいました。そして、帰ってきた船から最後の最後に降りてきた夫に駆け寄り、アップでキス！　その瞬間に涙が落ちるのであります。ああ、これぞ女優テクニック。典型的だけれど、こういう計算したお芝居ができるところに思わず「わっ、このコすげー」と感心したのを覚えています。

https://www.youtube.com/watch?v=BQmllwTKtqU