おしゃれ心が震える超快適ヘッドホン

エル・エディターが私的に夢中になっているものなどをリアルな目線でお伝えする、デイリー連載OKINI! 今日はデジタル フィーチャー&ニュースエディターKEIICHIが感動したワイヤレスヘッドホンをご紹介します。

ひと目ぼれ。

「最近の(あなたの)OKINI、ブログくさいよ」と指摘されたので、心外だと感じながらも今回はファッションサイトらしくシャレオツなアイテム紹介に徹しようと思います。

B&O PLAYさん(@beoplay)がシェアした投稿 -

質のいいヘッドホンを探していました。通勤の1時間ほどの間に音楽が聞けるように。というのも以前、3000円くらいの安いものを「まあるい緑の山手線、真ん中とおるは中央線♪」の大型電気店で手に入れました。ところが……。

マジつかえねえ! 

ブラック上司が部下に罵声を浴びせる気持ちが10パーセントくらいわかったような気がしました。ポイント15%還元されても損した気分です。
 
まず、道路を走っていると車のエンジン音で音楽が聞こえなくなるのです。(購入時にガラガラだったので試聴時、騒音の影響に気づきませんでした。バカっ! 自分、バカ!!)
仕方ない、じゃあ室内専用にすればいいや……と思ったらBluetooth接続が悪いことといったらもう!(電波がいろいろ飛んでるとめったにつながらないよ!)
そして何よりもやたらとギター音やシンバル音だけが聞こえてきて、不快なことと言ったら……。水曜日のカンパネラのボーカルはほぼ聞こえませんでした。安物買いの銭失いとはよく言ったもので、即メルカリ行き決定です。
 
二度と同じ過ちを犯してはいけない。そう心に誓い、探し始めたそんなとき、「夏の新色出ましたよ」とお知らせがきたのがコレ。「B&O PLAY」のH4です。

冬は首にかければマフラー代わりにもなります。嘘です。

なんといっても夜の海の色をしたこの色がすてき♪ 

でも総評で何がいいか一言でいうと「ちょうどよさの快適感」です。

シンプルでちょっとレトロなムード漂う「Bang & Olufsen」ならではのデザインは、おしゃれヘッドホンだけどスーツ姿にもしっくりきて、年齢を経たわたくしめが首から下げていても恥ずかしくないのです。サイズ調整のアジャスタも非段階式だし、メガネをかけた上からでも痛くないのもうれしい。
 
デザインが優れたヘッドホンはいくらでもあるのですが、どうしてもテック感が出てしまって服を選んでしまうのが玉に傷。それをテックとおしゃれのちょうどよいバランスを北欧デザインでクリアしやがっているのです。また、前代ヘッドホンをメルカリ行きにした、問題の遮音性もちょうどいい。
 
ノイズキャンセリングまでいってしまうとケッタマシン運転中も走っている最中も逆に危険(というか規則違反)。後ろから迫ってくる車のエンジン音や信号音はわかるくらいの遮音性がありつつ、音楽はちゃんと聞こえてほしい。そんなわがままボディ(耳に限る)な要求にも応えてくれてます。

床に転がしてもかわいい。デンマークのトップ・プロダクトデザイナー、ヤコブ・ワグナーのデザイン。お問い合わせはこちら→ TFC/ tel : 03-5770-4511

肝心の音はというと、これもまたちょうどいい。3日ほどかけてあらゆるジャンルの曲やら映画の音を試聴しまくってみたのですが、全方向的に音の再現率が高いのです。ベース音も映画のしっかり聴こえるけれど、SF映画の電子効果音もすっきり耳に入ってくるし、ピアノの中音域の粒もしっかり立っている。有線でも無線でもイケて、Bluetooth接続も快適。試しに同価格帯の「Beats」のヘッドホンと比べてみたのですが、こちらのほうが音の快適さはよかったと思います。ちなみにお値段はメーカー希望小売価格税抜で¥30,463! プライスもちょうどいい。

ちょうどよすぎてニクい、あなたのことがニクい。

有島麗華(「あなたのことはそれほど」)の気持ちが20%くらいわかったような気がしました。

なぜ「ちょうどいい」はこんなに快適なんだろう。週末、このH4で『君の名前で僕を呼んで』のオリジナルサントラをヘビロテしながらそんなことに思いを馳せてみました。時の流れに身を任せ、悠久の時に思いを馳せてヘッドホンの快適さについて考える。なんて無駄な思考なのでしょう。きっと花粉のせいです。

カッコいい写真ってなんだろう……。考えさせてくれた今は亡き『スタジオボイス』の写真特集号たち。私物です。

むかしむかしある職場に写真マニアのおじいさんと音響マニアのおじいさんがいました。そこにどんぶらこどんぶらこと混沌とした世の中にぷかぷかと浮いていた私目が流れ着きました。
すると音響マニアのおじいさんは言いました。「『●ー●』とか、『●●ー』が音がいいとか言っているじゃろ。でもあれは『良い音に聞こえる』ようにつくっとるだけなんじゃ」と教えてくれました。
そうして別の日、写真マニアのおじいさんはこう教えてくれました。「某●●●誌とか、某●●誌とかで持ち上げられとる写真家、おるじゃろ。極端な表現をしとけばクールだと芸術が分からん奴が美意識を作り変えてしもうたんじゃ。50年もメインストリームを張っておる」。
そう教えられた私目は鬼が島に「カッコいいのぶりっ子」退治に向かいましたとさ。
おしまい。

(聞かされたキツイ説教をオブラートに包むべく童話風にお届けしました)
 
ふたりは別のことを言っているようで、まったく同じことを言っていました。「良く聞こえる・見える」ために人は何かを極端にすることに力を入れて解決してしまうということです。
 
確かに、丸い緑の山手線の人やでっかいカメラの人たちがひたすら訴えてきたのは「低音がズーンってくるんすよ」とか、「すごい高い音まで再現できるんすよ」など「すごさのひけらかし」でした(とはいえH4は周波数20 - 20,000 Hzをカバー。念のため)。それはそれですごいことなのですが、年がら年中ズンズカされると不快ですし、ギター音だけキュインキュイン聴こえてもストレスが溜まってしまいます。また「カッコいい写真」とされるものは、何かがやたらと強調されてたりして若い頃うんざりした覚えがあります。
 
もちろんそれらは聴く人・観る人を圧倒するという点ではすばらしいのですが、刺激が快適なのは一瞬で、すぐに慣れてしまうか、嫌悪感に変わるかのどちらかです。

ゆづ、おそろしいコ。

Photo: Aflo

強烈じゃない、でもすごく素敵。バランスが取れているのになぜか突出している。そんな「ちょうどよくて快適」と感じるものには何が必要なのかと、頭の上で両手の人差し指をクルクル回して考えました。

和尚様! わかりました!! 基本に丁寧であること。そして派手さを排除することなのではないでしょうか!!! すきすきすきすき、すきっすき♪

そういえば前述のおじいさんたちの口癖は、「下手クソは派手なことをしたがる」でした。派手なことをやれば実力がなくても、皆の注目が集まる。わかりやすいからだと。
なるほど、だから素人カラオケ番組とかだと歌い上げちゃう系がわんさか出てくるのか……と妙に納得。
なるほど、オスカー狙いで過激な役をやりたがるのはこういう訳か……と改めて納得。
なるほど、毎年成人式が仮装大会みたいになっちゃうのはこういうことね……と今さら納得。
「下手クソ」のおかげで「納得」の三段活用が完成しました。

その点H4は細かい音がしっかり聞こえるので、極端な音が強調されなくても「なんだかすごいな」と思える底力があるような気がするのです。派手じゃないのに、美しくあるためにはディテールを表現できる基礎力。それがともなうことで力を抜いた美を表現できるのだとすれば、基礎力を理解できる人間になりたいなと思うのですが、いかんせん世の中グルタミン酸を足さない料理は「旨味が足りない」と言われ、エッジィであろうとしない写真は「ダサい」と言われたり、ベース音ズンズンさせないヘッドホンは「物足りない」とされて売れないわけで、ビジネスとしてやるなら派手なほうがいいのだろうなと考えてわかりやすい方向に流されている自分……。おじいさんたちごめんなさい。
基礎力がある美が、基礎力のない表面上のカッコよさに負ける。それは仕方ないことなのです。ええ、自分に言い訳してます。

でも、やっぱり違う! ゆづたんだってゆってるもん。「芸術とは、あきらかに、正しい技術、徹底された基礎によって裏付けされた表現力がないと、芸術として成り立たないと思っています」。

おしゃれヘッドホン紹介に徹しようとしながら、最終的に行きついた先は「羽生結弦選手ってやっぱりすごいな」でした。初志貫徹が如何に難しいかを知りました。

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