あなただけじゃない! 今さら聞けない「お尻」の悩み
2017/07/04(火)
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女性にいちばん多い症状は“切れ痔”

「痔」とひとことに言っても実は、症状や対処法もそれぞれ。知識として知っておけば、いざというとき焦らず対処できるはず。

1.一般的によく知られているのが「イボ痔(痔核)」

「直腸と肛門の境目には動脈や静脈が集中したクッション部分があります。そこに負担がかかってうっ血し、部分的に腫れてイボのようになったものがイボ痔。痔の症状のなかで男女合わせるといちばん多いもので、排便時のいきみ、長時間同じ姿勢でいる、妊娠&出産がきっかけで起こることが多いです。排便時に出血を伴ったり、イボが脱出してしまい指で戻さないと戻らなくなることも。また、イボ痔は一度なってしまうと保存的な治療で直ることはありません。上手にコントロールして付き合っていくしかないので、予防やケアが大切です」

■治療法→「進行度によって治療が異なります。基本的には保存療法になります。症状が進行している場合は、注射や外科的処置、手術療法などを行います」

2.女性のお尻トラブルナンバー1「切れ痔(裂肛)」

「女性に多い痔である切れ痔は、肛門の皮膚が裂けてしまう症状のこと。便秘時の硬い便で物理的に裂けてしまうのが主な原因で、排便のたびに痛みがあるというのが厄介な症状です。硬い便でいきむ→肛門が切れる→痛い→排便を我慢する→便秘が慢性化するという悪いスパイラルに陥っている人も多いです。そのため切れ痔は痛みの恐怖から慢性化しやすいともいわれています。患部の治療と合わせて食生活や腸環境を整えましょう」

■治療法→「基本的には排便コントロールを目指した生活改善の指導と坐薬などの薬を併用します。症状によっては軟膏を使ったり、慢性化している場合や重症の場合は手術することも」

3.働き盛りの男性になぜか多い「あな痔(痔ろう)」

「男性に多いのがこのあな痔です。肛門の内側にある“肛門陰窩(こうもんいんか)”と呼ばれる穴があり、そこに細菌が入って膿が出てしまう状態のことをいいます。一度この膿の通り道ができてしまうと、膿が出きってもまた細菌が入り化膿する、というのを繰り返してしまいます。痔ろうは大抵の場合手術が必要になります」

■治療法→「あな痔の場合は基本的に手術を行います。軽度であれば、腫れている部分を切開して膿の出口を作ります。もっと進行していると『切開開放術』などの手術が必要となってきます」

◇市販薬も上手に活用

「気になる症状が出たら医者にかかるのがもちろんいちばんだけれど、さまざまな理由で行けない時は一時的に市販薬を使うのも手。坐薬や軟膏、内服薬などがあるので、用法容量を守って正しく使いましょう。それでも改善がみられない場合は、すぐに受診してください」。

→症状が悪化する前の心得「お尻トラブルに悩まされない10の方法」は次ページへ

  • Profile

    草間香/草間かほるクリニック院長。金沢医科大学卒業、東邦大学医学部付属大森病院第一外科、社会保険中央総合病院大腸肛門病センターにて研修。群馬県飯塚医院院長、東肛門科胃腸科クリニック副院長を経て2007年に草間かほるクリニック会員。テレビ、雑誌などでも活躍。

photo:Getty Images

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