特集 2013/10/7(月)
世界のおやつ from Seoul/びび언니(オンニ)

韓国ならではの秋のスイーツを、伝統食器で味わおう!

厳しい猛暑が去り、韓国で最も大事な行事のひとつ、秋夕(チュソク)も9月19日に終わり、ソウルもやっと秋らしくなってきました。秋夕は作物の収穫シーズンを迎えることができたことを先祖に感謝する行事。先祖の墓参りをして、食べて飲んで踊ってと、盛大に遊びます。実りの秋は、美味しいものが目白押し! ということで、今回は秋の果物、柿を使ったスイーツをご紹介します。

ソウルで一番の観光名所である景福宮の西側に位置する西村(ソチョン)は、ハンドメイドの雑貨店やおしゃれなカフェが点在し、アート系の若者に人気のある今話題のスポット。昔ながらの家屋やせまい路地があり、落ち着いた佇まいの街は私のお気に入りの散策コースです。「ノックルッ カジロニ」も路地を歩いていて偶然発見したカフェ。店のウインドーに飾られた真鍮の食器がとても上品で美しく、思わず入ってみたくなるお店です。

シンプルでゆったりとした空間の店内でひと際目をひくのが、真鍮の器たち。

それもそのはず、オーナーは慶尚南道(キョンサンナムド)にある鍮器(ユキ)工房なんです。「温かな光沢を持つ鍮器の良さをもっと知ってもらいたい」と、2011年にオープンしたショップです。「鍮器」とは韓国の伝統的な真鍮の食器のこと。真鍮は毒に反応するため、朝鮮時代には敵から守るため王宮で使用されていました。抗菌作用がある上、冷たいものは冷たく、温かいものは温かく保つことができるとか。
 
この店の人気メニューが「ホンシ・タンパッ」。ブヨブヨに完熟した柿(ホンシ)を凍らせたものに、練乳で溶いた小豆ソースをかけた柿のデザート。柿も小豆もオーナー自ら厳選した慶尚南道産のものを使用しています。鍮器にきれいに切り分けられ盛られたホンシは、まるでシャーベットのようなシャリシャリ感があり、種のあたりのぷにゅぷにゅとした食感はクセになりそう。柿の熟した自然の甘みと香ばしくてクリーミーな小豆ソースのコンビネーションも抜群。

秋になると、スーパーでは冷凍ホンシや干し柿のチップスが出まわり、それらをいくつも買っていく韓国人をよく見かけます。友人に聞くと、寒い季節にオンドル(韓国式床暖房)がきいた暖かい室内で凍ったホンシを食べるのが格別だそう。
 
メニューはほかにお汁粉や伝統茶などがあり、どれも体にやさしいものばかり。煮詰めたショウガに泡立てたミルクを加えた「ショウガ・ラテ」は散策の疲れを取ってくれるホッとする味です。一緒に出されるナツメのお菓子はほのかに甘く、栄養豊か。

店の名前である「ノックルッ カジロニ」は、鍮器がきちんと並んでいるという意味。ここで使われている器は、韓国の無形文化財14号であるイ・ヨングさんを父親に持つイ・キョンドンさんの作品。店の2階は工房のギャラリーになっていて、モダンで普段使いにもできそうな素敵な器がたくさん展示されています。こんなにたくさんの鍮器を一度に見られるチャンスは滅多にないので、一見の価値アリです。カフェでのんびり過ごした後、鍮器の魅力もぜひ味わってみてください。

「ホンシ・タンパッ」 7,000ウォン
「ショウガ・ラテ」 6,000ウォン

  • びび언니(オンニ)●編集者時代は取材のかたわら、おいしいものを求めてひたすら食べ歩き。20年ほど前から韓国に通い、現在ソウル在住。韓国料理の奥深さを探究すべく、韓国でも食べ歩き修行続行中。愛猫と日向ぼっこしながら、本を読むのがリラックスタイム。

  • ノックルッ カジロニ
     
    ソウル市鐘路区通仁洞118-9
    tel.  +82(2)736‐6262
    営業時間/10:00~19:00
    定休日/日曜
    http://www.noshi.co.kr

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