一年中食べられる、韓国人が大好きな夏の定番スイーツ・パッピンス
いよいよ夏本番。今年の韓国はとても暑く、6月初旬からすでに30度を超える日が続いています。暑い日には冷たいものを食べたくなりますよね。というわけで、今回は韓国人の夏の定番おやつ「パッピンス」をご紹介します。
パッピンスは「パッ(あずき)」と「ピンス(かき氷)」で、かき氷の上にあずきと餅が盛られた、あずき入りかき氷のことです。韓国では1年中、パッピンスが食べられる専門店があるほど韓国人はパッピンスが大好き。いつからパッピンスがあったのかは、はっきり分かりませんが、朝鮮時代から食べられていたという説もあり、歴史はそうとう古いみたいです。日本人も夏になると、かき氷を食べますが、韓国人のかき氷に対する思い入れは、比較にならないほどです。ソウルの4月はまだセーターが必要なくらい寒いのに、4月になると待ち構えてたかのにように、カフェなどの店先にはパッピンスののぼりが登場し始めます。
寒がりの私はその写真を見ただけでも、凍えてしまうんですが、寒さに強い韓国人はパッピンスを食べられるのがうれしそうです。チェーン店のカフェのピンスはハンドボール大の器にどーんと盛られてくるので、最初はその大きさにびっくり。これを友達や恋人と一緒にかき混ぜながら食べるのが韓国式。たまに、男性 2人がコーヒーではなく、同じピンスの器をつつきながら真剣な話をしているのを見かけますが、ちょっと不思議な光景です
専門店はもちろん、カフェだけでなく、ベーカリーやファーストフード店でもパッピンスが食べられます。また、スーパーにもパッピンスコーナーが設置され、あずき缶やシロップ、餅などが並べられ、自宅でもマイ・パッピンスを気軽に楽しむことができます。
ピンスの味は日本と同じようにミルクやイチゴ、抹茶のほか、コーヒー味などもあります。日本と違うのはトッピング。メロンやマンゴーなどの果物やアイスクリームが盛られていたり、どの店もお客を獲得するため、趣向を凝らしたものが次々と登場しています。
いつもどこで食べようかと、迷ってしまうほど。それでも時々、無性に食べたくなるのが、ピンスの王道といえる伝統的なパッピンスです。
今回ご紹介するお店は、昔ながらのパッピンスにこだわっている「Flat274」。新雪のようなフワフワの氷をあえて少し固めたピンスにミルクを加えて、 小豆で有名なキョンサンドウ産のあずきときなこ餅が盛られたシンプルな「パッピンス」(2人分10,000ウォン、1人分5,000ウォン)です。
舌触りはさらさらなのに氷の食感が楽しめ、まるで雪そのものを食べているかのよう。練乳とミルクのシロップを使っている店が多いなか、この店はミルクだけを使用。甘すぎずさっぱりとした味わいなので、最後まで飽きずに食べることができます。別皿に盛られたあずきは、もちろんお代わり自由。ダッチコーヒーを 使ったコーヒーパッピンス(2人分12,000ウォン、1人分6,000ウォン)との2種類のみですが、休日はパッピンスを目的に来店する人で賑わっています。ちょっとレトロな雰囲気の店内には、若手アーティストの作品を展示販売しているスペースもあり、その時々によっておもしろい作品に出会えるのもこの店の魅力です。
お店の近くには、「コーヒープリンス」や「私の名前はキム・サムスン」などドラマの撮影スポットや美術館などが点在していて、小高い山に囲まれた気持ちのいいロケーション。ソウル中心部からバスで15分くらいですが、少し足を伸ばしてでも行きたくなるお店です。
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びび언니(オンニ)●編集者時代は取材のかたわら、おいしいものを求めてひたすら食べ歩き。20年ほど前から韓国に通い、現在ソウル在住。韓国料理の奥深さを探究すべく、韓国でも食べ歩き修行続行中。愛猫と日向ぼっこしながら、本を読むのがリラックスタイム。
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Flat 274
住所/ソウル特別市鍾路区付岩洞274-1 2F
tel. +82-2-379-2741
営業時間/11:00~21:00
定休日/月曜
http://www.flat274.com