特集 2013/4/15(月)
世界のおやつ from Seoul/びび언니(オンニ)

文人が集った閑静な韓屋で、伝統茶を楽しむ

「五味茶」や「ゆず茶」など日本でもよく知られている韓国の伝統茶。韓国ではスーパーなどで、スティック状のものから濃縮タイプのものまで売られていて、手軽に飲むことができます。それでもやっぱり手づくりのものにはかないません。ソウルでは最近、手づくりの伝統茶を飲める韓屋(韓国の伝統的な家)が人気を集めています。

陰陽五行説に基づいた五味五色の食事が20種類くらい出てくる韓定食は、料理がテーブルに載りきらないほど豪華。これを韓国人は「食卓の脚が折れそうだ」と表現します。韓国の食事は、古くから「薬食同源」の思想に基づき、体に良いとされる山菜や薬草などが多く使われています。そして、食事の最後にいただくお茶もそう。
 
今のように甘いものをたくさん食べなかった頃、伝統茶はデザート代わりに出されていました。果物や木の実を原料にしたものから、穀物を発酵させたものまで、味も香りもさまざま。韓国人はその時の体調や気分によって選ぶのだとか。日本でもよく知られている「ゆず茶」は咳や頭痛などに効果があるとされ、ゆずの香りでリラックスした気分にも。新陳代謝をよくする「しょうが茶」は日本でも風邪をひいた時などによく飲みますよね。そのほかにも、のどに効く「かりん茶」や万能選手の「高麗人参茶」などもあります。

今回、紹介する「壽硯山房」は、知人宅を訪れたような心地いい、ゆったりとした時間が流れる伝統茶店。韓国の友人が「韓屋で伝統茶が飲めるよ」と、連れていってくれたのですが、一目でお気に入りに。実はこの店、韓国近代小説の文豪・イ・テジュンさんが住んでいた旧家を、「家に遊びに来たようにもてなしたい」と、あえてそのままお店として利用。約100年前に建てられた家屋はソウル市の民俗資料にも指定されています。

こちらは、私のおすすめのお茶「なつめ茶」(9800ウォン)。なつめは冷え症や免疫力向上にも優れていて、女性の強い味方。「1日3個食べれば年を取ら ない」と言われるほど、老化防止や美肌効果があるらしいと聞けば、トライしないわけにはいかないでしょう。国産最上級のなつめを大きな鍋で5時間以上煮詰めたお茶は、少しとろみがあり、お茶と言うよりデザート感覚でいただけます。

またこれからの季節にうってつけなのが、毎年6月に収穫したうめを100日間熟成させてつくった「うめ茶」(8500ウォン)。すっきりとした味わいで、梅の味と香りでリフレッシュできる一杯です。お茶うけとして出される、もち米を揚げた油菓など伝統菓子ももちろん手づくり。

伝統茶だけでなくデザートもいくつかあり、そばで有名なボンヒョンから取り寄せた「そば粉のクレープ」(15500ウォン)はそばの香り高く、もちもちとした食感。トッピングのかぼちゃと抹茶アイスも甘すぎず、素朴な味わいです。
 
ロケーションは演劇の街・大学路(テハンノ)に近く、周辺には韓屋も多いと最近話題のスポットです。最寄りの地下鉄・漢城大入口(ハンソンデイック)駅からは少し離れているので駅からはタクシーがおすすめ。一見すると茶店に見えず、通り過ぎてしまうので気をつけて。

特等席は、入口の右側にある少し突きだした部屋。三方から自然光が入るこの部屋では、ライラックやサルスベリが植えられた庭を眺めながら、お茶を楽しむことができます。少し前まで文人のサロンだった「壽硯山房」で、ノスタルジックな気分に浸りながら、ゆったりと春の午後を楽しんでみて!

  • びび언니(オンニ)●編集者時代は取材のかたわら、おいしいものを求めてひたすら食べ歩き。20年ほど前から韓国に通い、現在ソウル在住。韓国料理の奥深さを探究すべく、韓国でも食べ歩き修行続行中。愛猫と日向ぼっこしながら、本を読むのがリラックスタイム。

  • 壽硯山房
     
    住所/ソウル特別市 城北区 城北洞 26-8
    tel. +82-2‐764‐1736
    営業時間/11:30~22:30(平日)、12:00~22:00(土日)
    定休日/旧正月、仲秋

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