私が韓国に通い始めたころ、ケーキと言えばバターケーキでした。パン屋の片隅にひっそりと並んでいたものです。それがここ数年、スターバックスのようなコーヒーショップや可愛らしいカフェが急増。日本と同じように韓国でもフランス菓子やアメリカンスタイルのデザートなどが食べられるようになりました。そんななか、今回紹介するのは韓国のデザートにこだわった「K style dessert cafe siru」。

お料理上手なお母さまから伝授された味と、オーナーのキム・ミンソさんのセンス（実はキムさん、元コピーライターなんです）からつくり出される韓国の伝統菓子をベースにしたデザートが人気で、連日地元の人で賑わっています。

昔ながらの韓国のおやつと言えば、トッポギに代表されるようにお餅からつくられたものがほとんど。生クリームたっぷりのケーキも好きだけれど、韓国人に とって餅菓子はとても身近な普段着のおやつ。たとえば、引越しや開店祝いの時、日本では簡単なお菓子やタオルなどを近所の方々に配りますが、韓国ではシル トックというお餅を配ります。注文を受けてからつくるこちらの「ミニ・シルトック」（7,000ウォン）は、小豆ともち米を段々に重ねて専用の器で蒸したもの。お餅特有の粘り 気は少なく、ほわっとした口当たりと小豆のほんのりとした甘さに癒されます。

そして、なんとも韓国らしいのが「スパイシー・スイートポテト」（7,500ウォン）。栗のようにホクホクした味わいのスイートポテトのなかには、キムチとモッツァレラチーズ が入っています。スイートポテトとチーズの濃厚な味のあとから、キムチのパンチがやってくる未知の味。スイートポテトとキムチのマリアージュ、ありです。 聞くと、韓国では蒸したサツマイモを食べる時、一緒にキムチを食べる人もいるのだとか

お店で使っている素材はすべて、体に良い安心できるものだけを厳選。写真左から、干し柿とシナモン味の「スジョンガ」（6,000ウォン）、20種類の穀物が入ったミスカル・ラテ」（5,000ウォン）、穀物を発酵させてつくる「シッケ」（6,000ウォン）、など健康を考えた韓国伝統の飲むデザートはキムさんのお母さまの手づくりです。

インテリアデザイナーの友人とキムさんがデザインした店内はガーリーな雰囲気。場所はチャイナタウンがある海辺の町・仁川の近く。ソウルから電車で約1時間と、少し遠いけれど、ショートトリップ気分で訪ねてみてはいかが？