特集 2016/1/25(月)
世界のおやつ from New York/ごまめ

こんなの初めて! 個性派の絶品マカロン

こだわりコーヒー店、動物病院、寂れたホットドッグ屋、おしゃれカフェ、ワインバー、何の変哲もないデリ、とテーマに全く脈絡のないお店の数々が一箇所に集中するセント・マークスストリート。その一角に、パステル・カラーが目を引く、宝石店のような面持ちの明るい店先を携えた「マカロン・パーラー(Macaron Parlour)」があります。今日はこちらの絶品マカロンをご紹介!

わたしが「マカロン」と聞いてまず思い出すのは、ひとり旅で初めて訪れた2000年代のパリ。当時は、街で見かける日本人観光客の8割はブランドの紙袋と一緒にマカロンが有名な高級スイーツブランドの紙袋を下げている、というほどに、マカロンは人気のようでした。わたしも試してみなければ! と意気込み、寒空の下、チュイルリー公園のベンチに座って初めて食べた鮮やかな緑色のマカロン……が、感動はありませんでした。甘くて軽くて、特筆すべき特徴がない。そして喉が渇く。強いて言うなら、らくがんのような感じ。嫌いになる要素がないだけで、特に好きにもなれないらくがん。パリまで来て、らくがんひとつに¥300も払いたくないでしょう?(らくがん関係者のみなさまごめんなさい)この経験以来、ボリューム不足とコスト・パフォーマンスの低さで、私の中のマカロンは、自分のために好んで買うことはまずないお菓子、という位置に定着しました。ごくたまにお目にかかる機会といえば、差し上げたり、いただいたりする時のみ。
 
時は経ち、2015年。ニューヨークのわたしの家に遊びに来てくれた友人が差し入れに持ってきてくれて久しぶりに口にしたマカロンは、今までの洋風らくがんの記憶が、遠い昔、はるか彼方の銀河系へふっ飛ぶほどに美味しかったのです。そのマカロンが丁寧に収められていたパステルカラーの可愛い箱には「マカロン・パーラー」と書かれておりました。

こちらのマカロンの特徴は、個性的なフレーバー。「キャラメル・ベーコン&メープル・クリームチーズ」、「レッド・ベルベッド」、「ローズマリー&オリーブオイル」など、他では見ない顔がずらりと並びます。「この味のマカロンが食べたいな、と思ったらすぐに試作してみるんだ」と、経営者の一人サイモンさんはおっしゃいます。型にはまらない自由な発想から生まれるマカロンこそが「マカロン・パーラー」の強み。これからも作り手のクリエイティビティが発揮された様々なフレーバーが登場し、私たちの心を鷲掴みにすることでしょう。

もうひとりの経営者であるクリスティーナさんは、パリの有名店ピエール・エルメ(Pierre Hermé)でマカロンの製法を学んだそうです。ロウワー・イースト・サイドで長い歴史を持つ「ヘスター・ストリート・フェア(Hester Street Fair)」に小さなお店を出した2010年から、サイモンさんとクリスティーナさんの躍進は始まりました。続いて市内の他のストリート・フェアや、ホリデー・マーケットにも出店、そこでの人気が追い風となって、今やマンハッタンのイースト・ビレッジとアッパー・イースト・サイドに2つの店舗を構えるまでになりました(お二人は2012年にご結婚されたそうです!)。定期的にマカロンを作る教室を開催されているそうなので、興味のある方はウェブサイトをチェックしてみてください。

色鮮やかなマカロンの皮は、外はパリッと、中はもっちりの食感がたまりません。時々、いつもよりもしっかり焼かれたのかガリガリと固めの皮もあり、こちらも美味。材料は主に砂糖とアーモンドと卵なので、グルテン・フリー(※1)を実施中の方にも人気だそう。私のお気に入りは、ピスタチオ、ハニー&コニャック、そしてレモンです。

ちなみに、レモンの売り上げの一部は、小児癌の治療に貢献するために建てられたアレックス・レモネード・スタンド・基金(Alex Lemonade Stand Foundation. ※2)に寄付されるそうです。

これだけかわいいと、誰かのために買ってあげたい衝動に駆られますね。加えて、これだけおいしいと、自分のために買い占めて、全てのフレーバーを制覇してみたい衝動にも駆られてしまいます。「マカロン・パーラー」でしか食べられない個性派の絶品マカロン、ぜひ試してみてください。
 
 
※1)アレルギーのため、または体調を向上するために、小麦たんぱくであるグルテンを排除した食餌療法。
 
※2)小児癌を患う4歳のアレックス・スコットさんが、同じ病気で苦しむ少年少女たちを救うために立ち上げた「小児癌患者のためのレモネード・スタンド」からできた基金。アレックスさんは、「たとえ人生がレモンのように酸っぱくたって、そのレモンで甘いレモネードを作っちゃえばいいの(When life gives you lemons, just make lemonade.)」という言葉を残して8年の短い生涯を閉じた。

  • Macaron Parlour (East Village)
    111 Saint Marks Pl New York, NY 10009
    tel. (212)387-9169
     
    Macaron Parlour (Upper East Side)
    560 Columbus Ave New York, NY 10024
    tel. (212)799-9169
     
    http://macaronparlour.com

  • ごまめ●東京と北京での芸能活動を経て渡米。現在はニューヨークを中心に俳優・モデルとして活動中。NY生活や俳優活動の様子は、ブログ「気まマホ日記」(http://blogmahohonda.wordpress.com)で公開中。現地の日系新聞「NYジャピオン」や、「The Huffington Post」(http://www.huffingtonpost.jp/maho-honda/)などにも執筆。パンコーディネーターの資格あり。本名は本田真穂。

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