スペインの缶詰で、おいしいアペロを楽しもう!
ここバルセロナの夏は、夜10時頃まで明るく、日が長い季節。そんな長い夕べをスペインの人はどうやって楽しむかというと……そうです、アペロです。スペインではvermut(ベルムー)というのですが、ここで欠かせないのが缶詰、オリーブ、生ハムとチーズです。今回は缶詰にスポットを当てていきます。
スペインは魚介類が豊富で、日本でもアヒージョなどの料理が有名だと思いますが、スペインの缶詰は高品質かつ安価でヨーロッパの中で評価を得ているのです。有名シェフが好んで食材として使うこともありますし、バルやBodega(ボデガ)と言われる立ち飲みバーでは、つまみには缶詰を開けたままの状態で出されることもあります。何も足さなくても、もう完成された一品なのですね。
今回はスペイン唯一のデパート、「El Corte Inglés(エルコルテイングレス)」のスーパーで缶詰を買って食べ比べしてみました。
「Mejillones en escabeche(メヒヨネスエンエスカベチェ)」はムール貝のオリーブオイル、酢とハーブのマリネの缶詰です。大きな身のムール貝が赤いソースと一緒にたくさん詰まっていて、とてもジューシー! パッケージもスペインらしい色使いでかわいい! 3.70ユーロ。
「Berberechos (ベルベレーチョス)」は日本では赤貝の仲間でザル貝と言います。材料はベルベレーチョ、水と塩だけ。小さな貝なのですが、食べると潮の香りが口に広がり風味豊か。個人的には一番好きなアペロのお供です。4.20ユーロ。
「Navajas(ナバハス)」はマテ貝の缶詰で、材料はマテ貝、水と塩だけです。独特な食感をシンプルな味付けで楽しめます。2.60ユーロ。
「Agujas en Aceite de oliva (アグハスエンアセイテデオリバ)」はサヨリに近い魚のオリーブオイル漬け。新鮮な魚と高品質のオリーブオイルを手作業で詰めているそうで、魚の旨みをそのまま楽しめます。クセがないので誰からも好まれそうなお味。3ユーロ。
「Sardinas en Tomate(サルディーナスエントマテ)」はいわしのトマトソース漬けの缶詰。ジューシーないわしが3匹もトマトソースと一緒に詰まって、1ユーロ80セント(約¥200)は安い! ご飯と一緒に食べてもいける味です。トマトソース以外にも唐辛子などバリエーションがあるので飽きることがなさそう。このALBOという会社は1869創業の老舗の缶詰会社で、レシピは創業当時から変えていないそうです。
「Anchoas en Aceite de oliva(アンチョアエンアセイテデオリバ)」は今回の大目玉でした。スペイン北部のカンタブリア海で取れるアンチョビは、脂がのっていて世界でも最高級の一品。単なるアンチョビだと思っていたのですが、これがびっくりするほどおいしい! 一缶3ユーロ(約¥400)で、開けてみると骨と皮がきれいに取られたアンチョビが6本ほどしか入っていなく驚きましたが、いつも料理に使う瓶入りのアンチョビとは全然違うのです。塩加減がちょうどよく、噛むほどにアンチョビの深い旨味が広がり、最後の方はかすかな甘みがします。これは思わず唸るおいしさ! 料理に使うのがもったいなくて、このまま食べるのが一番の食べ方だと思います。この絶妙な塩加減は素敵なお酒のお供になりそう。この1891年創業のORTIZという会社は、昔ながらの手作業で無添加無着色の伝統的な作り方を守っていて、環境を考慮した漁を行っているそう。そこもポイント高いですよね。
缶詰のいいところは何より簡単なところ! 思い立ったらすぐに缶詰を開けて、飲み物を用意すればもうアペロの完成です。しかも、缶詰はヘルシー! 一缶50~200カロリーほどで、魚介類の旨みを丸ごと楽しめます。グルテンやラクトースが含まれていない缶詰もあるので、アレルギーのある方でもチョイス可能。新鮮な魚介類をすぐ加工し、材料はすべてオリーブオイル、酢、塩、野菜やハーブ類なので安心して食べることができます。
日差しがやわらぐ夕方に、ホテルのベランダに缶詰とカバを用意して、夕日を見ながらゆっくりと時間を過ごす……。ディナーにでかける前に、こんなご当地スタイルのアペロを楽しむのも粋ですよね。ぜひ試してみてください!
-
El Corte Inglés(エルコルテイングレス)
Plaça de Catalunya, 14, 08002 Barcelona
tel. 933-06-3800
営業時間/9:30~21:30
-
ryoko●2011年よりバルセロナ在住で、只今バルセロナの大学でジャーナリズム専攻中。世界中の食べ物を制覇しようと企む一方、食と健康にも興味ありで今はココナッツシュガーにはまり中。