【1997-1999】 “尻軽V”が未来のスターを青田買いして急上昇
“Easy V(尻軽ヴィクトリア)”とまで呼ばれ、嫌われ者として過ごしたせいか、過激なダイエットに走り運気は最悪。
そんな彼女に1997年、(今となっては世界中が知っている)ある転機が訪れる。それが彼女のファンでもあったサッカー選手、デビッド・ベッカムとの恋愛だ。
ベッカムが有名人だから、彼女の株があがった―――という、よくある評判は実は正確ではなく、このときのデビッドは、選手としての能力は認められていたものの、ようやく活躍のチャンスをつかみ代表に選ばれたことで名前が知れ渡り始めた、あくまで“マンUの優秀な若手選手”程度。それこそ国外に目をむければサッカーファン以外には「あの人誰?」状態。
腐っても世界的アイドルグループのメンバーと、代表ゴールもまだ果たしていない田舎者若手サッカー選手の格差カップル。当時はそれが実情だったものの、“自分のファン”というデビッドの弱みを十分に利用し、ヴィクトリアは彼をコントロールし、すべてをプロデュースした。その結果、婚約中に第1子が産まれたころには、ルックスも能力も揃ったスター選手に。結婚した1998年には、デビッドは世界的に偉大な選手のひとりとして名が挙がるまでに育ち、ヴィクトリアはコンプレックスだった胸にシリコンも入れ、他のメンバーの誰よりも“幸せそうに見える”、夢のような結婚を手に。僻みと憧れの対象となったヴィクトリアは、スパイス・ガールズのポッシュではなく、ヴィクトリア・ベッカム個人の名声をぐんぐん高めていく。そうして、夫婦揃って“スター”の高みに近づいたように見えた。ところが……。
photo : AFLO、Gettyimages