編集部員のサービス精神が、楽しいサイトを作った
K:この時代にページビューが3倍となる急成長を遂げたわけですが、その勝因も編集力にあったのでしょうか。
M:今思えばインターネットのメディアとしては非効率なところがいっぱいあって、自前でこれだけのコンテンツを作るということも稀有だったし、ほかのサイトがやっていたこととは違うことをやったからでしょうね。編集部のスタッフみんなのなかに、エル・オンラインをもっともっと楽しくしよう!というサービス精神があったと思うの。それがすごく大きい。働く女性たちがランチタイムに触れるものとしての楽しい空気感、真面目すぎない感じ、排他的じゃない感じが見ている人の心にフィットしたんじゃないかな。
S:川上さんは地道な努力もしていましたよね。僕はシステム担当として当時全社員のパソコンの設定をしていたんですが、川上さんから頼まれて全社員のパソコンのブラウザーを立ち上げると、必ずホーム画面にエル・オンラインが表示されるように設定したのを覚えています(笑)
M:あれはなかなかいいアイディアだったわ!
ひと晩で完売した伝説の通販「カエルオキニ」
K:今のエル・ショップのベースになったのは、「カエルオキニ」というオリジナル通販企画だったのですが、印象に残っているエピソードはありますか?
S:一気に注文が入ってもシステムがダウンしないように対策していたのに、一秒間に何個も注文が入ったことで一時システムエラーが起きたのを覚えていますよ。400個のバッグがひと晩で完売になって驚きました。まさかあんなに売れるとは予想もしていなかったから。
K:懐かしい! もともと、編集部員のお気に入りを紹介する「OKINI」という人気連載があって、そこで紹介した商品を「買いたい!」という問い合わせがあまりに多くて、「それなら、みんなが欲しいと思っているのにまだ世の中にないものをゼロから作ろう!」とスタートした企画でした。 最初は「サロン」に協力いただいて、レースのスポーツバッグを作りました。
M:最小限のスタッフでとにかく面白いサイトにしよう!と頑張ったあの時代は大変だったけれど、作り手の私たちにとっても楽しくて、まさに青春だったわね。そんなエル・オンラインがもう成人式を迎えるなんて、本当に感慨深いです。
S:次回は30周年記念の座談会をやりましょう!
text : Kiriko Kageyama
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川上雅乃/編集者
雑誌『mcシスター』、エル・オンラインを経て、現在は主婦向け月刊誌『サンキュ!』で広告と編集を担当。今年2016年は『mcシスター』が創刊から50年、エル・オンラインと『サンキュ!』は20周年、自分の編集歴も25年と周年イヤー。趣味はランニングで、好きな食べものは白米と「カール」のチーズ味。影山桐子/フリーエディター、一般社団法人ランガール理事
エル・オンラインで10年間編集を担当したのち、独立。エル・オンライン在籍中にハマったランニング好きが高じて女性のためのランニング大会「ランガール★ナイト」を立ち上げ、現在もランガールとフリーエディターの二足のわらじで活動中。Toshiko/ハースト婦人画報社ブライダルコンテンツ部チーフ・プロデューサー
2000年当時はwebデザイナ-、アートディレクター、webディレクターとして、エル・オンラインのデザインまわりをすべて担当。生真面目で人見知りなメガネ女子。趣味は映画観賞。Shigetaka/ハースト婦人画報社ジェネラルマネージャー
現在はフリーウェブ媒体開発・分析の責任者。1999年に友人と起業、2000年から外注の制作会社としてエル・オンラインに携わる。当時の担当はプログラムと賑やかし(?)。オンライン激動の時代を体験しつつも、その面白さに魅了され、2006年に正式入社。