’90sサブカルのミューズ、クロエ・セヴィニーがモード界を虜にし続ける理由
'90年代のサブカルミューズといえば、クロエ・セヴィニーをおいてほかにいないだろう。1995年に映画『KIDS/キッズ』で鮮烈なデビューを飾って以来、20年以上にわたって“COOL”の称号が与えられ、今もモード界から賛辞とオファーが絶えない真のスタイルアイコン。そんな彼女が考える“COOL”の意味とは? ヴィンテージアイテムをこよなく愛する理由とは? US「エル」がクロエに直撃インタビュー。
Q. '90年代と今では、“COOL"の定義が変わったと感じますか?
「そうね、今のほうが、何がCOOLなのかを見定めるのが難しくなったと思うわ。当時と同じくらいCOOLなものが、いま存在するかわからないもの。すべてが一律に白く塗りつぶされたように同じに感じるわ。物事の何が本当の姿かを判断するのが難しくなったように感じるのよ。街を歩いている若者が特にそうなんだけど、本当に何が好きなのか、あるいは何が好きだと見せかけようとしているのか見て取れないじゃない。私が若者だった頃は、身にまとう物であらゆる物事に対しての明確な態度を表していたから、だれがどんな主張をしているのかとか、どんな音楽が好きかなのか、どの世界に属しているのかといったことを簡単に見極められたの。何よりファッションはそのようなこと象徴で、服装でさまざまな物事に対するその人の態度を判断することができたのよ。今はそのような見極めをすることが難しいわ。みんながただ見せかけの態度を取っているような気がするの」
「例えば、先日、『この子は本物の変わり者!』って思った女の子がいたの。髪の毛が青くて、サバーバン(郊外的)でオルタナティブな雰囲気の子。本当に純粋な変わり者を見かけるなんてとても新鮮!って思ったわ。翌日またその子を見かけたたんだけど、モデルがオーディションなどに持ち込むポートフォリオを持っていたの。それが彼女の個性を損ねたわけではないんだけど、少し悲しくなっちゃった。私も若い頃、同じようなことをしてなかったとは言えないんだけどね。モデル事務所には入っていなかったけど、『サッシー・マガジン』でモデルをしたり、ちょこちょこそういう仕事をしていたわ。でも、今の世の中とは時代がまったく違っていたの。今、私達はSNSや雑誌、広告などから大量の情報やイメージを与えられているせいか、人がどんどん商品化されている気がするの」