“私なり”の官能とクラシックなパリスタイルの真髄
「シャネル」や「イヴ・サンローラン」といったモードブランド展覧会をキュレーションし、ファッション史、ランジェリー史に関する多くの著作もある、フランスの大物キュレーター、キャサリン・オーメン宅を訪問。素敵なクラシック部屋とともに、ランジェリーとスタイルとの密接な関係を聞き出した。
場所はパリ中心地から離れた19区、ロミエール通りに面したアパルトマン。部屋に入るとそこにはヴィンテージの調度品がずらり。「ナポレオン3世時代が大好きなの。机も、鏡台も、コーヒーテーブルも、食器もすべて1800年代後半のその時代のものよ。なぜかと言えば、現在のパリの街そのものの基本はあの時代に作られたから。たとえばパリによく見られるオスマン様式の建物があるでしょう? ドアは2枚並んでいて、大きく玄関が開くようになっている。あれは当時のファッションの基本、クリノリンドレス(大きくスカートが広がったドレス)を着た女性が通れるためだったの。建物のつくりがドレスによって、ひいてはドレスを膨らませていた下着によって決まっていたなんて」。
Photo : Yusuke Kinaka Coordination : Reina Shimizu
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Profile/キャサリン・オーメン Cathreine Ormen
ステュディオ・ベルソー(Studio Bercoit)でにてファッションデザインを学び、さらにルーブル美術学院(Ecole du Louvre)、フランス国立文化財学院(Ecole du Patrimoine)を卒業。
卒業後は文化財保護官としてマルセイユ服飾美術館の創設、パリ装飾芸術美術館のモード&テキスタイル美術館の20世紀ファンドマネージャーを経て、キュレーター、ライター、講師としてファッション界で活躍している。
キュレーターとして手掛けた展覧会は、シャネル・マルセイユ展示会(Chanel à Marseille)、シャネル・東京展示会(Chanel au Bunkamura de Tokyo)、イヴ・サンローラン展(Yves Saint Laurent-Exotismes)、シャンタル・トーマス展(Secrets, sous le charme de la lingerie)など。2014年7月20日~7月28日まで表参道にてフレンチランジェリー展も開催。
ファッション史やランジェリー史、1800年代からの体型の変化に関する著書が多数ある他、百科事典など多くの書籍や定期刊行物の制作にも貢献。フランス国内の大学及び学会での講演も多数行っている。
www.lingeriefrancaise.jp