シンガポール発! 菊型のかわいく素朴なローカルスイーツ
様々な民族が移り住み、独特な文化を築いてきた国シンガポール。
そのユニークさは、スイーツの世界にも色濃く反映されています。
今回はシンガポールで育った友人に「小さい頃よく食べた」と勧められて以来、
ハマっている「Kueh tu tu(クエ ツツ)」を紹介します。
Kueh tu tuとは、米粉のお饅頭(ケーキ?)の中にやし砂糖で甘くしたココナッツ餡やピーナッツ餡を入れた素朴なお菓子です。日本でも米粉を使ったお饅頭はよくあるので、食感はなんとなく想像していたのですが、少し違っていました。思っていたよりサクサクというかホロホロというか・・・何とも面白い食感です。
シンガポールに昔からある伝統的なスイーツなのですが、実はこのKueh tu tuを扱うお店の数は近年激減しており、今やシンガポーリアン(シンガポール人)にとってさえ、懐かしのおやつになっているとか。友人が教えてくれた お店はClementiにある「陳家“嘟嘟”糕(TAN’S TU TU COCONUT CAKE)」というホーカーズの一角にあるお店です。
かなりの有名店らしく、たくさんのアワードを受賞しています。
なんといってもこのお店の魅力は、お母さんのその見事な手さばき。店前はいつもちょっとした行列で、しかもみなさん30~50個と買って行くので、これは結構待たされるかもと覚悟するわけですが、見とれている間に順番はスグにまわってきます。
Kueh tu tuの作り方は、まず菊花の型に米粉を詰めます。この米粉はパンダンリーフと一緒にローストしてあります(写真左)。次にこの上にピーナッツ餡、またはココナッツ餡をのせて(写真右)……
さらに米粉を振りかけてすっぽり覆います(写真左)。これをステンレスの蒸し器の布の上にポンと乗せて(写真右)……
ふっくらときれいに蒸しあがりました!!(写真左)
ペースとしては5分で3つといったところでしょうか。速いのなんのって……2つのスチームを時間差で見事に使いこなしていきます。
そして、最後にパンダンリーフの上に乗せて出来上がり!(写真右)
友人は子供の頃、このお母さんの手さばきをずーっと見ていられたと言っていたのですが、これは決して大げさな話ではなく、今やリピーターとなっている私も、その熟練の技には毎回見惚れてしまいます。
肝心のお値段はというと、5個で3ドル(220円くらい)。
ピーナッツ餡とココナッツ餡をミックスしてもらうこともできますが、私はココナッツの方がジューシーで好みです。
ホカホカの蒸したてをいただくのが最高なのですが、この日はお昼ご飯を食べ過ぎてしまったので残りを持ち帰りました。冷えた後でもレンジでチンすると、かなりホクホクが戻ってなかなかイケますよ。
早速、おいしいにおいを嗅ぎつけた主人に見つかって食べられてしまったのですが、インドにもよく似たお菓子があるというので早速調べてみました。西・南インドのお菓子でModakというお祭りでいただくお菓子で、インドから仏教とともに中国、そして日本にも伝わったそうです。もしかしたら、Kueh tu tuもそんなグレートジャーニーの果にシンガポールに根づいたものなのかもしれませんね。
名店が消えてしまう前に、一度おためしあれ。
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haru●商社に勤務後、1997年に渡仏。フランス・パリRits Escoffierにて製菓のDiplomeを取得した後、Hotel Ritsにてスタージュ。1999年2月より13年間、東京駒沢の自宅にてEcole de patisserie chez haruを主宰。現在、シンガポールに場所を変えて活動中。新店mp立ち上げ、メニュー開発、レシピ提供をしている。
http://www.mangosteen.com.sg/lesson/culture-cake/
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Tan's Tu Tu Coconut Cakes
449 Clementi Ave 3 #01-211
営16:00~21:30
Blk 22B Havelock Road #01-25
営9:00~15:00