パリジェンヌが夢中になる、とろける食感のスイーツ
「妖精の指」という名前のおやつの正体は? 軽い食感が病み付きになりそうなメレンゲはいかが
メレンゲというと、普通はケーキ生地に加える卵の白身を泡立てたアレ、ですよね?
ところがフランスではアレ自体がお菓子として立派に成立。昔ながらの街のパン屋さんには高確率で並んでいるので、旅行で訪れた際に見たことがある方は多いかも。かくいう私も、最近まで華麗にスルーしていたのですが、突然恋に落ちてしまいました。
それが今回紹介する、「パティスリー・デ・マルティーユ セバスチャン・ゴダール」の「Doits de Fee」。その名もロマンティックな「妖精の指」であります。
オーナーパティシエを務めるゴダール氏は、フォションを経てデパート、ボン・マルシェ内のスイーツバーのディレクターに。その後独立して、2011年末に 自らの名前を関したパティスリー/ショコラティエを開店。それまで最新デザインのスイーツを手がけて来た彼のお店は、以前の彼のスタイルを180度変え た、「フランス菓子の原点」に立ち返ったクラシックな趣が特徴です。
深緑のファサードを始め、お店の床を飾る小さなモザイクタイルやガラス製のランプは、 あえてアンティークのものを探すほどのこだわりよう。薄いブルーで彩られた店内に足を踏み入れるたびに、なぜか子供の頃に帰ったような懐かしい気持ちがよ みがえります。
ショーケースに並ぶケーキ類も、チョコやコーヒーエクレア、レモンタルトとフランス人に馴染みの深いものばかり。「その時美味しい食材しか使わな い」というゴダール氏の信念のもと、冬はマロンや柑橘類、春から夏はイチゴやラズベリー、杏と旬の素材を使ったタルト類が並びます。小ぶりなサイズも可愛 らしく日本人の好みにぴったり、何より確かなテクニックに裏付けられた美味しさに、いただく度につい笑顔に。
そうそう! 今日のおやつはケーキではなくメレンゲでした。ゴダール氏のプレスを務めるIさんに薦められて以来、我が家のお茶の友として常備しているのがコレ。
通常こちらで見かけるメレンゲはメロンパンのような巨大サイズなのですが、この「妖精の指」は名前通りに長さ5cm×幅1cmほどの可憐なルックス。フレーバー はバニラ、コーヒー、ラズベリーの3種類で、水色のリボンがかけられたシンプルなメタルボックスもかわいらしい。食感は泡立てた白身を焼くことによって、口に入れた瞬間にサクサクッと小気味良い音が。でもメレンゲに混ぜ込んだ気泡が溶けると、お砂糖成分がキャラメルのように口に残り、次第にヌガーのようなテク スチャーに。この変化が楽しくて、ついつい4~5本は一気にいってしまいます。こちら、一箱で18.5ユーロです。
最後にナゼ「妖精の指」なのか? ちょっと調べたところ、フランスでも昔はこうした形と名前のレシピが存在していたものの、次第に忘れ去られてしまった模様。次々と流行が変わるパリのお菓子界ですが、古き良きものを守るゴダール氏の心意気や良し!
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Mademoiselle A●女性誌の編集に携わったのち、2003年に出版社を退社、渡仏。パリをベースに食やビューティー、インテリアなど雑誌や書籍のコーディネイト&執筆を手がける。美味しいおやつとコーヒーをそばに、編み物に没頭するのが至福の時間。
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Pâtisserie des Martyrs Sébastien Gaudard
住所/22,rue des Martyrs 75009 Paris
tel. +33-1-71-18-24-70
営業時間/11:00~20:00(土曜は9:00~ 日曜は9:00~19:00)
定休日/月
http://www.sebastiengaudard.fr/