特集 2015/6/1(月)
世界のおやつ from Bologna / Mari

どのタイプがお好み? トスカーナの伝統菓子「カントゥッチ」食べ比べ!

皆さん「Cantucci(カントゥッチ)」ってご存知ですか? ご存じの方がこの質問に答えるとしたら答えはどうでしょう? 「硬くて歯が折れそうになるビスケット」や「おじいちゃん、おばあちゃんのお土産には向いてない食べ物だよね」など、そんな声が聞こえてきそうなビスケットです。でも、ちょっと待って! 今回は、これから皆さんの既成概念を覆す「カントゥッチ」をご紹介します。

写真右から「ダ・ミリアーナ(Da Migliana)」の責任者である、Francesca(フランチェスカ)さんとChiara(キアラ)さん。この店の「カントゥッチ」は、フランチェスカさんの義兄Lorenzo(ロレンツォ)さんが、フィレンツェの郊外にあるMigliana(ミリアーナ)という街で「カントゥッチ」作りのマエストロ、Leonardo Santi(レオナルド・サンティ)氏から学んだもの。18歳から師のもとで働き始め、彼の店を長年任された後、レオナルドさんから「カントゥッチ」作りの特許を譲り受け、20年前にこの店をオープンしました。現在では、新店舗である「Centro Commerciale I Gigli(ショッピングモール ジッリ)」に工房を設け、夜中に焼き上げた「カントゥッチ」を毎朝早くにキアラさんがこちらの店舗まで運んでいます。

ノスタルジックなムードが漂う店内も素敵でした。店で使われている木製の家具や什器はすべて、家具職人だったフランチェスカさんの叔父さんの手作りだそう。「カントゥッチ」を乾燥から守るガラスケースも、柔らかいカントゥッチが自慢の店ならではの発想ですよね。
この店の「カントゥッチ」は、卵、砂糖、薄力粉、ベーキングパウダー、天然香料にチョコレートやドライフルーツといった自然由来の材料だけで作られ、バターや油などの油脂成分は一切使用していません。また、この店でもオーブンで焼くのは一度だけ。まだ温かいうちに手作業でひとつひとつ切り分けていくのだとか。こうして作られた「カントゥッチ」が、こちらです。

写真左から「Cantucci alle Prugne(プルーン味)」、「Cantucci alla Mandorla(アーモンド味)」、「Cantucci al Cioccolato(チョコレート味)」、「Cantucchi all’Albicocca(アプリコット味)、「Cantucci ai fichi(いちじく味)」。各種 100g 1.6ユーロ(そのほか、好みの分量で量り売り可)。※開封前の賞味期限は1ヶ月(開封後は4日ですが、密封容器で保存すれば水分が蒸発せず長持ちします)。

ご覧ください、このふんだんに加えられたチョコレートやドライフルーツを! フレーバーは5種類。10cm以上もある大きめサイズで、手に取ってみるとその重さから中身がぎっしりと詰まっているのが実感できます。アーモンド以外の生地はしっとりとしていて、噛みしめると歯がゆっくりと沈んでいく感じ。ちなみにごろごろ入ったチョコレートを、溶かさずに焼き上げる製法は企業秘密とのこと。ボリューミーなタイプやしっとり食感のカントゥッチがお好みの方は、こちらの店が断然おすすめです。とってもフレンドリーなフランチェスカさんとキアラさんとおしゃべりしながら、ほかにはない「カントゥッチ」を味わいに行ってみてください。
 
そして、最後に紹介したいのが、「カントゥッチ」を世界的に有名にした「Antonio Mattei(アントニオ・マッテイ)」。「カントゥッチ」の食べ比べでは、絶対にはずせないブランドです。プラートという町の菓子職人であった彼は、1858年から「カントゥッチ」作りをはじめ、元来のシンプルな「カントゥッチ」に2度焼きしたアーモンドと松の実を加えたものを売り出しました。このビスケットは1861年にフィレンツェ、1862年にロンドン、1867年にパリの展示会で表彰され、これにより、「カントゥッチ」は各国でも愛されるおやつとなりました。今では、土地の名前から「Biscotti di Prato(ビスコッティ・ディ・プラート)」として販売されています。今回はプラートまでは足を運べませんでしたが、ラッキーにもボローニャのイータリーにおいてあったのでご紹介します。そんな、アントニオ・マッテイの「カントゥッチ」がこちら。

「Biscotti di Prato(ビスコッティ・ディ・プラート)」 250g 6ユーロ

小ぶりで軽く、口に入れるとカリッ、ポリッと歯ごたえがあります。一度かみ切ればサクサクと生地は崩れて溶けていき、全体の20%の分量で配合されているアーモンドと松の実の香ばしさが楽しめます。ビスケット本来の生地の味を楽しみたい方、そして、ミルクやヴィン・サントに浸して食べたい方におすすめです。水色のパッケージもかわいいので、おみやげにも重宝するはず。

今回、食べ比べしたカントゥッチ。右から、「アントニオ・マッテイ(3軒目の店)」、「イル・カントゥッチョ・ディ・サン・ロレンツォ(1軒目の店)」、「ダ・ミリアーナ(2軒目の店)」、「ヴィン・サント(カントゥッチに合わせる酒)」 375ml 6.5ユーロ。

今回ご紹介した以外の店でも、フィレンツェやその近郊にはおいしい「カントゥッチ」を作る店がまだまだあるようです。これまで食べてきた「カントゥッチ」のイメージを大きく崩してくれるものばかりで、時間があればもっと「カントゥッチ」巡りをしてみたと思うほど、店によって個性が豊か。やわらかめ? それとも、トラディショナルな硬め? など、フィレンツェでお気に入りの「カントゥッチ」探しを楽しんでみませんか?

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  • Il Cantuccio di San Lorenzo(イル・カントゥッチョ・ディ・サン・ロレンツォ)
    Via di Pratignone, 62, 50041、Calenzano(FI), Italia
    tel. +39-055-290034
    営業時間/8:30~19:30 日曜は、9:30~18:30
    定休日/7月、8月は日曜日。1週間の夏季休暇有
    http://www.ilcantucciodisanlorenzo.it/
     
    Da Migliana(Biscottificio del Cantuccio Srls)(ダ・ミリアーナ)
    Via Nazionale, 121/R, 50123 Firenze, Italia
    tel. +39-055-283566
    営業時間/10:00-13:30、15:30-19:30
    定休日/火曜。8月は夏季休暇
    http://ilcantuccionyc.com/
     
    Biscottificio Antonio Mattei(アントニオ・マッテイ)
    Via Ricasoli, 20, 59100 Prato, Italia
    tel. +39-0574-25756
    営業時間/8:00~19:30 土曜は、~13:00、15:30~19:30 日曜は、~13:00
    定休日/月曜
    http://www.biscottimatteideseo.it/

  • Mari●大手経営コンサルティング会社にて経営コンサルタントとして勤務後、2006年に渡伊。2人の男の子のマンマをしながら「フェリチターリア」の通訳者・翻訳者・個人旅行同行アシスタントとして、「食の都」ボローニャを中心にイタリアの魅力を発信中。
    http://www.felicitalia.net/

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