チーズを食べるときに欠かせない! スペインの隠れた大定番「メンブリージョ」って何?
スペインのスーパーに行くと必ず見る、このオレンジ色の羊羹のようなもの。何だかわかりますか? これは、スペインのチーズ売り場には必ず並んでいる「メンブリージョ」という食べ物。今回は、スペインチーズの最高のお伴にして隠れたスペインの大定番でもある、こちらの「メンブリージョ」についてレポートします!
日本ではスペインチーズの知名度があまり高くないかと思いますが、それもそのはず。スペインのチーズ生産量は、スペイン国内でほとんど消費されてしまうため、国外に輸出されることが少ないから。つまり、グルメなスペイン人が独占したいほど、スペインチーズはおいしいんです! スペインにはたくさんのチーズの種類がありますが、「ドンキホーテ」にも登場するラマンチャ地方のマンチェゴチーズ、ヨーロッパの食の遺産にも登録されたバスク地方のスモークチーズのイディアサバル、ガリシア地方の“乳房の形”のチーズ、ケソデテティーヤなどが代表的なチーズです。チーズがとにかく大好きなスペイン人の家庭には、必ずチーズが常備され、そのまま食べたりワインと合わせたり、またパンに挟んで食べたりしています。
そんなスペインチーズの一番のお伴が、「メンブリージョ」。これは、マルメロ(西洋カリン)をシンプルに砂糖とレモン汁だけで煮詰めた固形ジャムのこと。正式名称は、「Dulce de membrillo(ドゥルセ・デ・メンブリージョ)」、もしくは「Carne de membrillo (カルネ・デ・メンブリージョ)」といいます。マルメロの旬は秋で、金木犀に似たさわやかな甘い香りとそれに反した強い酸味で知られています。消化しにくい硬い繊維質と強い酸味のために生食されることはなく、主に砂糖で煮詰めたメンブリージョに加工されます。マリメロは、ギリシャでは愛と美の女神アフロディーテに捧げられた果物であり、愛と豊穣の象徴とされていたそう。なんと、新婚夫婦は初夜にマルメロを食べる習慣もあったとか!
今回は、このメンブリージョを乳房の形のチーズ「ケソデテティーヤ」と、スペイン大定番の「マンチェゴチーズ」と合わせてみました。作り方は簡単、薄く切って重ねるだけです。メンブリージョは羊羹のように固まっているので、薄く切るのも楽ちん。食感は、しゃりっとした繊維質からくる歯触りと、ほどよくみずみずしくて甘い果実感たっぷりの味わい。甘さは後を引かず、マルメロのさわやかさが口に残ります。もちろんそれだけでもおいしいのですが、チーズと合わせて食べるとこれまたおいしい! ケソデテティーヤの柔らかな食感とメンブリージョの相反する繊維質な食感の違いが面白く、癖のない優しい塩味のケソデテティーヤとやさしい甘みのメンブリージョのコンビネーションが絶妙です。これは、食後のデザートにもおすすめ。
>次ページでは、マンチェゴチーズとペアリング!
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ryoko●2011年よりバルセロナ在住で、只今バルセロナの大学でジャーナリズム専攻中。世界中の食べ物を制覇しようと企む一方、食と健康にも興味ありで今はココナッツシュガーにはまり中。