バルセロナに来た当時、桜にそっくりな花を咲かせる街路樹を見ながら、ひとりで花見気分を楽しんでいたことがあります。後でわかったのですが、それはアーモンドの花でした。街路樹にもあるほどのアーモンド大国、スペイン。世界2位の生産国でもあり、スペインの台所に欠かせないアーモンドは、お菓子や料理にもたくさん使われています。そんなアーモンドを、グルメなバルセロナの人はどんなところで買っているのでしょうか？

今回ご紹介する「Casa Gispert（カサ ジスペール）」は1851年創業で、165年の歴史を持つバルセロナで2番目に古い店。店に入るとローストしたてのアーモンドの香ばしい香りが漂います。内装は、ほぼ当時のまま。歴史を感じる木製の壁や棚が、とても素敵。商品の品揃えも創業当時から変わらず、品質にこだわったナッツやドライフルーツ類（ドライトマトも絶品）、コーヒー、チョコレート、サフラン、オリーブオイルまで、お土産にも良さそうなアイテムがずらりと揃います。
 
なかでも一番のおすすめは、やはりアーモンド。私もいろいろな場所でアーモンドを食べていますが、ここのアーモンドは格別。香ばしいアロマ、カリっとした食感、そしてやさしい甘さが舌に残ります。とりわけ、薄皮の香ばしさと甘さが段違いなのです。ここのアーモンドを食べると、ほかの店のアーモンドでは物足りなさを感じてしまうはずです。

その味の秘密を、日本語が流暢な従業員のMarc（マルク）さんに聞いてみました。秘密は、このローストするオーブンにあるということでした。なんと創業当時から使い続けている薪を使ったオーブンで、ヨーロッパに現存するのはこの一台だけなのだそう！　薪を使うので、燻したような香ばしさが出てくるといいます。薪オーブンを使うと時間も費用もかかるけれど、味の違いが歴然なので今でも昔の様式を守っている、とおっしゃっていたのが印象的でした。ナッツはピスタチオ、ヘーゼルナッツ（アーモンドより苦味が強くワインに合います）、ピーナッツ、マカダミアナッツ、カシューナッツまで揃い、塩や砂糖をまぶした瓶入りのナッツはお土産におすすめ。

ビタミンEが豊富で美容効果も高いスーパーフード、ナッツ。バルセロナでお土産に迷ったら、ぜひアーモンドをお試しあれ。そして、「カサ ジスペール」に寄ってみて。マルクさんが、日本語で丁寧にアドバイスしてくれるので、楽しくお土産選びができるはず！