エディターズPICK 2015/4/21(火)

ロンドンで対面した「マーガレット・ハウエル」のデザイナー&ファクトリー

過ごしやすく、機能的、そして美しい。英国の人気ブランド「マーガレット・ハウエル」のタイムレスなスタイルを生み出す、エドモントンのシャツ工房にエル・オンラインが潜入。2015-16秋冬ロンドンコレクション発表直後にマーガレット本人が語った、普遍的な美とファッションとは?

美しい型紙に沿って切り抜かれたパーツは、熟練した縫製職人の手に渡され、ボタン付けまで1着すべてが仕上げられる。1枚ごとに匠の技が注がれるため、1日に仕上げられる数は、1人1日4枚ほど。こうした職人の数は10人にも満たないため、ブランドの神髄であるシャツを生み出すエドモントンのファクトリー発のアイテムは貴重品。

いいものはちょっとだけ持つのがいい

 

――ファッションには次々に新しいものを買ってもらうという、商業的な面があります。しかし現代はライフスタイルに必要なものとして手に入れるというより、消費そのものが加速しています。次々にトレンドが生まれ、買っては手放していくことの繰り返し。買う側はどう意識変化をすればいいのでしょう?

マーガレット : それは難しい質問ですね。私が小さいころは、自分自身の価値観で育つことができました。でも今は新しい情報が次々に飛び込んでくる時代。皆「新しいもの、新しいもの、新しいもの!」と言っている感じがします。それは日本も同じだと思いますけど(笑) 年に2度、サンプルやストックを関係者に特別にセール価格で売る機会があるのですが、そのとき普段の値段なら買えない若い人たちが私のコレクションを手にして、“長く使えるいいもの”の良さを知って、その後自分たちの生活に長く活かしていってくれればいいなと思っています。

でも、新しいものを発信するということを否定するつもりはありません。それも大事なこと。プレスに向けた小さなマーケットを活かしていくというのもクリエイティブの源。それなしでは成り立たないですから。だから本当にこの質問は難しいです。でも、クオリティのいいものを無駄にしてはいけない。要は、いいものはちょっとだけ持つのがいい。私はいつもそういう姿勢です。

―長く継承される良質なものづくりという意味で、英国ブランドは長い伝統に支えられた国内生産を大切にしています。その動きに希望をもっているのですが、それは正しい見方でしょうか?

マーガレット:その考え方は好きです。でもまた、これも難しい質問ですね。伝統的なプロダクツは私をインスパイアしてくれる。“いいもの”とはそもそも、必要とされる目的があって作られています。それが伝統となるのですけど、伝統とは目的に沿って作られているので、少しずつしか変化しない。だから、伝統になっているものは、そもそもいいものなのだから残していこう。そんな動きがあります。東京のホテル・オークラ(※マーガレットも建て直しに異議を唱える活動に参加)の例もあるように……。

一方で、最近少しずつ変わったことといえば、職人がデザイナーとコラボレートし始めたことですね。昔は伝統職人といえばコツコツと自分たちのことさえやっていればいいと思っていた。でも、今はいろいろなデザイナーとコラボレーションし続けていますよね。

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  • Photo : Wataru Yoneda

    「マーガレット・ハウエル」ロンドン本店
     
    日本の「野田琺瑯」など、世界中から集められたホームプロダクトを、最新のコレクションラインとともに紹介。生活に則した機能性、そしてタイムレスなスタイルを両立させる「マーガレット・ハウエル」の世界観が堪能できる。

     
    34 WIGMORE STREET 
    LONDON
    W1U 2RS 
    tel. +44 (0)20 7009 9009

  • 「MHL.」 ショップ
     
    ニューキャベンディッシュストリートに新たにオープンした最新「MHL.」ショップ。ストレージ(収納)を意識し、あえてアイテムを積み重ねてレイアウトするなど、ショップ自体にも面白さが!
     
    22 NEW CAVENDISH STREET
    LONDON
    W1G 8TT
    tel. +44 (0)20 7487 3803

  • マーガレット・ハウエル
     
    デザイナー。自宅でハンドメイドの洋服からキャリアをスタート。自身のライフスタイルでもある“シンプル&ベーシック”を軸に、機能性と快適さを追求し、70年代より英国を代表するデザイナーとして一線を走り続ける。性別や年齢にとらわれないタイムレスなスタイルをアイコンとして、世界中から愛されている。 

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Photo : Wataru Yoneda

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