納期は絶対。職人技術は重視しつつ、スケジュールはしっかり厳守。

一人前のメティエになるのはひと握り

「ルサージュ」の職人は60人。刺しゅう職人はほとんどが女性で、男性はパリ全体ですら5人だけ(そのうちのふたりが「ルサージュ」所属)。「ルサージュ」に限らず、3つのアトリエの職人は女性が多数派。刺しゅうの場合、ディプロマ取得の後3~4年実務体験を経て、ようやく一人前になるのだとか。30年のキャリアをもつ熟練の職人が後進を指導し、才能のある若者だけが採用される。また、職人のなかにも特にクリエイティブな職人と、ビティに長けた人材は研究を重ねて新しい刺しゅうを考案して、デザイナーに見本を提案するという役割もある。「メゾン ミッシェル」でも元衣装係の帽子職人がいたように、元教師で刺しゅうの世界に魅せられて職人になった人など、さまざまな経歴の人が一緒に働いている。「職人に必要なのは“情熱”です。過去の経歴や学歴は関係ありません」。「ルサージュ」の担当者が語ってくれた言葉はまさにオートクチュールを裏付けるもの。
 
オートクチュールのドレスは、1着につき約1000時間の作業で仕上げられた、気が遠くなるほどの手仕事の結晶。人が考え、人が生み出す。厳しいけれど朗らかなアトリエから、ひとつひとつの手によって創り出されたものがストアに並んでいると思うと、とびきりリュクスななかにも、より温かみとありがたみが感じずにはいられない。

Photo : YUSUKE KINAKA Coordination : Reina Shimizu

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