エディターズPICK 2014/7/28(月)
仏ファッション・キュレーターに聞く!

“私なり”の官能とクラシックなパリスタイルの真髄

「シャネル」や「イヴ・サンローラン」といったモードブランド展覧会をキュレーションし、ファッション史、ランジェリー史に関する多くの著作もある、フランスの大物キュレーター、キャサリン・オーメン宅を訪問。素敵なクラシック部屋とともに、ランジェリーとスタイルとの密接な関係を聞き出した。

モノトーンのミニマルなコーディネートがキャサリンのスタイル。「フランス人がグレーや黒の服が大好きなのは、80年代の川久保玲や山本耀司といった日本デザイナーの影響が今も根強いから」。日本人も持っているテキスタイルや縫製へのこだわりが、現代のフランスのランジェリーの質にも影響を与えているのだとか。

どこを切り取ってもマチュアなセンスが漂う部屋、キッチン、応接室、寝室それぞれにある窓辺にはクレマチス、アジサイ、種を拾ってきたマロニエ、墓地で捨てられているところから“救出”したゼラニウムなどの植物を、自分の手で丁寧に育てている。「緑が大好きなの。ないと生きられないわね。緑を自分なりにスタイリングするって素敵なことじゃない?」。
 
「自分なり」という言葉を多用するキャサリン。ファッションも、リトルブラックドレスに白シャツ白ネイルを合わせたミニマルコーディネートに、突然ユニークなヴィンテージのメガネとグラマラスなゴールドの時計が差し込まれた個性的なスタイル。そういえば、パリジェンヌたちが有名セレブを例に挙げて「○○が好き」という表現をしても、「○○のようになりたい」と口にするのを耳にすることは少ない。パリジェンヌはなぜ、人の真似をしたがらないのだろう? 
 
「フランスでは、プレタポルテ(既製服)が普及するのに、他の国よりも時間がかかったの。19世紀まで女性たちは自分たちで服を縫っていて、その後も『よい趣味』『他人と違っていること』を重視していた。他の女性と同じ服でディナーに同席したくないでしょう。つまり“スタンダード”“ノーマル”な商品を好まなかったのがパリジェンヌ。私の祖母も、『出来合いの服なんて最悪よ!』と公言してはばからなかったくらい」。

2 / 6
1 2 3 4 5 6

Photo : Yusuke Kinaka  Coordination : Reina Shimizu

  • Profile/キャサリン・オーメン Cathreine Ormen

    ステュディオ・ベルソー(Studio Bercoit)でにてファッションデザインを学び、さらにルーブル美術学院(Ecole du Louvre)、フランス国立文化財学院(Ecole du Patrimoine)を卒業。

    卒業後は文化財保護官としてマルセイユ服飾美術館の創設、パリ装飾芸術美術館のモード&テキスタイル美術館の20世紀ファンドマネージャーを経て、キュレーター、ライター、講師としてファッション界で活躍している。

    キュレーターとして手掛けた展覧会は、シャネル・マルセイユ展示会(Chanel à Marseille)、シャネル・東京展示会(Chanel au Bunkamura de Tokyo)、イヴ・サンローラン展(Yves Saint Laurent-Exotismes)、シャンタル・トーマス展(Secrets, sous le charme de la lingerie)など。2014年7月20日~7月28日まで表参道にてフレンチランジェリー展も開催。

    ファッション史やランジェリー史、1800年代からの体型の変化に関する著書が多数ある他、百科事典など多くの書籍や定期刊行物の制作にも貢献。フランス国内の大学及び学会での講演も多数行っている。
     
    www.lingeriefrancaise.jp 

MORE TOPICS

SHARE THIS ARTICLES

前の記事へエディターズPICK一覧へ次の記事へ

ELLE PR STORIES

注目ブランドをもっと見る

CONNECT WITH ELLE

エル・メール(無料)

メールアドレスを入力してください

ご登録ありがとうございました。

ELLE CLUB

ようこそゲストさん

ELLE CLUB

ようこそゲストさん
ログアウト