エル・エディターのOKINI 2017/10/16(月)

バター醤油ごはんに陶然…… 食欲と読書の秋を一度に味わう

エル・エディターが私的に夢中になっているものなどをリアルな目線でお伝えするデイリー連載OKINI。本日は、秋らしく読書しながら食を楽しめるお気に入り作品を編集長代理のASAKOがご紹介!

食の描写が素晴らしい本が大好物。料理エッセイはもちろん、小説でもその描写だけ繰り返し繰り返し読んではうっとりするという趣味があります。 
 
その分類に入る作品として、今年のナンバーワンは間違いなく柚木麻子さんの直木賞候補になった小説「BUTTER」でしょう。
某事件がモチーフとなった、連続殺人事件の容疑者として収監中の“カジマナ”と、カジマナを取材するうちに彼女の世界観に引きずり込まれる記者の里佳の物語。

カジマナはバター信仰者で、冷蔵庫にマーガリンが入っている里佳にバターの素晴らしさについてバター醤油ごはんを例にとり説く。その語りだけでも唾が溜まるのに、さらに里佳がホカホカのごはんに冷たいままのエシレバターを乗っけて醤油をひとたらしして食べる、その描写ときたら……!  そのあと続くたらこバタースパゲティやウエストのバタークリームケーキにまつわる文章も、文字通り垂涎ものです。 
 
ええ、当然、しばらくはバター醤油ごはんにハマりました!! 

女性の生きにくさを食を通じて描いている、本当に面白く深い小説。 
スリムだった里佳はカジマナの影響でどんどん太り、彼氏や周囲から傷つく言葉をかけられるようになるんですが、物語の最後には、ダイエットをしたことのある女性なら誰もが何か解放感というかカタルシスを覚えるはず。

もう1冊、最近読んだOKINI本が「石井好子のヨーロッパ家庭料理」。 
すばらしい食のエッセイを数々残しているシャンソン歌手の石井好子さんが、ヨーロッパのさまざまな国のお友達宅で食べた料理について書いています。 
 
もとは’70年代に書かれた本のためか、出てくる家庭料理はどれもオーセンティックというかクラシック。おいしそう、食べてみたい…と思った読者のためにレシピも付いています。 
レシピの文章も、石井さんの手にかかると作るのが楽しそうだなぁと思わせます。

食についての描写を拾い読みしたくなる、特に反芻頻度が高いものを並べてみました。 
 
特に繰り返し読み続けて久しい田辺聖子&池波正太郎は文庫のカバーがボロボロなので外さざるを得ません。 

「返事はあした」を読んで、関東生まれの私は大阪のきつねうどんに憧れて止まなくなり、 
「ドンレミイの雨」を読んで、カルカッソンヌ近郊で“豚肉とソーセージをインゲン豆で蒸し煮にした一皿”などを食してみたくてたまらなくなりました。 
 
先の2冊も加わり、充実の読書&食欲の秋となりました。

  • ASAKO:編集長代理兼デジタル ビューティ デスク。 
     「わろてんか」が、先週土曜から俄然楽しみになりました。2週間じっと待っててよかった……! あの「おやまぁ」を聞いた瞬間に報われたと思った女性は私だけではないでしょう。

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