赤リップマスターへの道 by ディック・ページ
この春夏、1本はもっていたい赤リップ。ひと塗りでモードな顔に変身するための赤リップ攻略法は? 「今っぽいつけこなし方を知りたい!」という赤リップラバーをモデルに、メイクの巨匠ディック・ページ(資生堂アーティスティックディレクター)が直接指南! Part1に続いては、赤リップ初心者でもトライしやすいソフトな色みに仕上げるプロ技。
たったひと手間で完璧な口元に
「赤リップは、熊井さんのようなモノトーンのファッションを引き立ててくれる。それを抵抗なくつけこなすには、まず導入的につけやすい1色を持っているといいね。個人的なおすすめは、『資生堂 パーフェクトルージュ』の“スイートピー(RD304)”。フレッシュな発色で誰でもトライしやす色みだと思う。もう一歩、赤リップマスターを目指すなら、トーンの違う赤リップを重ねてみること。色をなじませるだけでニュアンスが柔らぎ、唇の立体感がぐっと増すんだ」 (ディック・ページ/資生堂アーティスティックディレクター)
唇の内側と口角の近い部分に、トーンが異なる明るめの赤リップを加える。このひと手間で、誰でも簡単にハッとする程パーフェクトな仕上がりに。さらに、プロ並みのリップメイクをかなえる秘訣が、ゴールドのハイライト使い。唇のまわりにふんわりぼかし、とりわけ口角周辺をぼかすようにすると、美しい輪郭が浮き出てくるかのよう!
【赤リップを美しく仕上げるコツ】
①少しソフトな赤をベースに、明るめの赤を唇の内側にオン
②肌になじむゴールドのハイライトで唇周りをふんわりぼかす
赤リップとのバランスを取るために覚えておきたいのが目元のハイライト。瞳の印象をナチュラルに強調させるために、目の下に白のハイライトをぼかすのみ。正味10分程度のタッチアップでガラリと印象を変えてしまった。
時代を超えて愛される“色”をクリエイトし続けるディック・ページは、赤リップの魅力をこう語る。
「昔あるメゾンのコレクションショーで、ヌーディな顔にネイルだけ赤にしたビューティルックを作ったんだ。それはとてもクールだった。赤という色は、世界的にも美しさを象徴する色。だからこそ、1点だけフォーカスして赤リップを取り入れることで美しさが際立つんだ。モノクロ映画を思い出してみて。白黒の画面でも、女優の赤口紅は存在を感じられる。そこが、永遠でありいつでも新鮮さを失わない赤リップの魅力。色は感情そのものだし、その日の気分にマッチした赤色にチャレンジしているうちに自分の“色”になると思う」 (ディック・ページ/資生堂アーティスティックディレクター)
洋服もメイクもまずはトライすること。赤リップもまたしかり。そのたった一歩が、新しい自分を見つけるきっかけになることを教えてくれた。
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【熊井さんのメイク後記】
普段なら自分が選ばないような色もディックの手にかかれば自分にぴったり合って、とても華やかな仕上がりに驚きました。そして、リップひとつでも丁寧に色を重ねていくプロセスが新鮮でした。普段1種類のリップしか使用しないので、さすがプロフェッショナルの仕事は違う! 「1日1分でも良いから鏡を見る時間を増やして、ひと手間かければいいんだよ」という言葉を伺って、このほんのひと手間が大切なんだと痛感しました。
熊井綾子さんのブログ「Ayakoのこころをゆたかにするヒント」はこちら>> -
Profile
ディック・ページ(Dick Page)
イギリス生まれ。ロンドンを活躍の場としてファッション業界に進出後、NYへと拠点を移す。「マイケル・コース」「ナルシソ・ロドリゲス」「マーク BY マーク ジェイコブス」「セリーヌ」などのファッションショーのメイクを担当し、創造性に満ちたタイムレスなメイクで高い評価を受けるメイクアップアーティストのひとり。世界各国のモード誌でもクリエイターから絶大な支持を得ている。
Photo:Yoshihiro Toyota(pinx.)