■お知恵4
“信頼できる相手がいなくて孤独”と感じるなら
「周囲への思いやりも必要」
夫がいて子供とは常に一緒で一人きりの状態になることはあまりない私でさえ、出張先のホテルで一人になって「うわー寂しい」と感じることがあります。けれど、これは知らない土地での空間のなかに一人でいる、という動物的な感覚。生きる上で孤独だという寂しさとは違うものだと心得ています。けれど、この空間的にセパレートされたことによる寂しさを、本来の孤独と勘違いしている女性が多いのではないでしょうか。
そもそも、“友達”ってそんなに大勢必要じゃないように思う。待ち合わせしてお茶するだけの相手を友達だと思っている人が多いような気がするんですが、友人というのは本来、皮膚感覚でつながっているような関係のはず。そうした深い絆もなく「自分のことを理解してほしい」「話を聞いてほしい」と一方的に求めていては、相手だって敬遠します。求める前に、まず人を思いやる気持ちが必要なのではないでしょうか。
街の中は人が集うことが想定された空間なので、かえって寂しさが募りがち。寂しいと思ったらあえて出かけずに家で、好きなDVDでも見て過ごすのもいいかもしれませんよ。
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よしもと ばなな
1964年東京生まれ。日本大学芸術学部文藝学科卒。1987年に小説『キッチン』(第6回海燕新人文学賞)でセンセーショナルにデビュー。おもな著作に『うたかた/サンクチュアリ』(第39回芸術選奨文部大臣新人賞)、『TUGUMI』(第2回山本周五郎賞)、『アムリタ』(第5回紫式部賞)、『不倫と南米』(第10回ドゥマゴ文学賞)など。「スカンノ賞」「フェンディッシメ文学賞」などイタリアの文学賞も受賞。『人生の旅をゆく』『人生の旅をゆく 2』(NHK出版)などのリアルで人を勇気づけるエッセイも多数発表している。近著に『さきちゃんたちの夜』(新潮社)がある。
公式サイト http://www.yoshimotobanana.com/