■お知恵1
パートナーや友人や周囲に不満があるならば
「人を取り巻く社会が悪い!と知っておく」
現状の思い通りにならないことを、身近な人や周囲のせいにしてしまっているんじゃないですかねぇ。パートナーや家族へのいらだち、理解してもらえない友人への不信感、認めてくれない上司への愚痴……。こうした悩みや不満のほとんどの背景は、今の不安定な社会にあると思います。震災後の社会環境や不景気、育児の体制が整っていない、といった社会的な状況を、身近な人への不満に置き換えてしまっているのではないでしょうか。
自分ひとりではどうすることもできない大きな要因なので、そこをとりあえず身近なもののせいにしてしまうんですよね。周囲にいる人たちもその社会のなかで翻弄されている。それに気づくと、多くのことがとてもクリアになるはずです。自分だけでなく周囲も、皆この難しい社会に生きていて、その状態が悪いことを認める。そのせいで夫も上司も友人も悩みを抱えている、と思えば、視野も広く、うんと楽になれると思います。
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よしもと ばなな
1964年東京生まれ。日本大学芸術学部文藝学科卒。1987年に小説『キッチン』(第6回海燕新人文学賞)でセンセーショナルにデビュー。おもな著作に『うたかた/サンクチュアリ』(第39回芸術選奨文部大臣新人賞)、『TUGUMI』(第2回山本周五郎賞)、『アムリタ』(第5回紫式部賞)、『不倫と南米』(第10回ドゥマゴ文学賞)など。「スカンノ賞」「フェンディッシメ文学賞」などイタリアの文学賞も受賞。『人生の旅をゆく』『人生の旅をゆく 2』(NHK出版)などのリアルで人を勇気づけるエッセイも多数発表している。近著に『さきちゃんたちの夜』(新潮社)がある。
公式サイト http://www.yoshimotobanana.com/