「スウェットで家を出るなんて絶対にしない!」生粋のパリジェンヌが明かす、真実のパリ・シックとは?
パリジェンヌのステディブランド、「タラ ジャーモン」の新アーティスティック・ディレクターに就任したコロンブ・カンパナ。2018春夏パリコレ中に開催したプレゼンテーションは、プリントやマカロンカラーに溢れ、華々しいデビューを飾った。パリ生まれ、パリ育ちという生粋のパリジェンヌである彼女が手掛ける新しいパリジェンヌ像とは? エル・オンラインがパリで直撃インタビュー!
春を迎えたばかりなのに、「夏が待ちきれない!」のがパリジェンヌ
ーー今回のコレクションのコンセプト、テーマは?
「テーマは『春』。パリの長く寒い冬に別れを告げて、緑と花々で華やかに彩られる街並みを軽快に闊歩するパリジェンヌ、というのがイメージよ。新たなスタートを切る春は、植物の命が芽吹く季節でもあるわ。私にとって『タラ ジャーモン』でのファースト・コレクションとなった今季、ブランドの歴史において次なるチャプターの新たなスタートという意味でも、“芽吹く”コレクションにしようと思い『春』をテーマに掲げたの」
ーー「タラ ジャーモン」のアーティスティック・ディレクターとして仕事をした感想は?
「アーティスティック・ディレクターという仕事自体が初めてで、新たな挑戦に期待しつつ緊張もしていた。ブランドにとっても、新任を迎え入れるのは初めてのことだった。けれど既に組織としてチームワークがしっかり構築されていると感じたから、スタッフとの信頼関係を築くことに時間はかからなかったの。細かくコミュニケーションを取り合いながら、スムーズに進めることができて、とても満足しているわ」
ーーお気に入りのルックは?
「ストライプシャツとフラワープリントスカートのコーディネートで、柄×柄で大胆に遊んじゃうルックが特にお気に入り! 春を迎えたばかりなのに『夏が待ちきれない!』とワクワクするパリジェンヌって感じよね(笑)。日本人と同じようにフランス人も四季を楽しむけれど、バカンスがある夏はフランス人のいちばんお気に入りの季節なの」
どこか欠けているけど、無頓着過ぎないーーこれがパリジェンヌスタイルの神髄
ーー生粋のパリジェンヌでもあるコロンブさんが考える、パリ・シックなスタイルとは?
「パリジェンヌは個性的だから、ひとつに絞ることはできないけれど……。“パーフェクトではない”という要素が共通していることかもしれない。これはファッションだけでなく、メンタリティにも通じること。エレガントで洗練されているけれど、どこか無頓着で陽気なの。洋服もメイクもヘアも、頭からつま先まで完璧に整えているというよりは、いつもどこか自然体な部分を残す。けれど無頓着過ぎることはないわ、近所のスーパーへ行くのにスウェットパンツで家を出るなんて絶対にしない! 自分磨きは大切だけれど、身の丈に合わない無理をして欠陥のないパーフェクトを目指そうとすることはないわ。どこか欠けていてパーフェクトではないスタイルが、私の思うパリジェンヌよ」
ーースタイリングでパリ・シックを実践する方法は?
「自信をもつことよ。そのためには、居心地が良いと感じられる洋服を着ることが大切。背伸びし過ぎず、自分らしくいられて、気負いしないアイテムを身につけるの。トレンドではなく、自分の心に従って物を選ぶことで個性が表れるし、最も居心地が良いと感じるはずよ」
ーー「タラ ジャーモン」を通して伝えたいことは?
「『メッセージを届けて欲しい』というのがメッセージよ(笑)。『タラ ジャーモン』が築きあげてきたエレガントでフェミニンなパリジェンヌスタイルという基盤はこれからも貫いていくけれど、もっと視野を広げて、世界中の女性の“今”の気分を汲み取ることが必要なの。前職の「アンドアザーストーリーズ(& Other Stories)」は立ち上げから携わり、商品レンジは幅広いけれどカスタマーとの距離が近く、フィードバックを反映させることをモットーにしていたの。その経験を生かして、『タラ ジャーモン』での私の任務はデザインを指揮するだけでなく、世界中の女性からの声を反映させて、カスタマーとともにブランドを成長させていくことだと思っている。国によって愛されるスタイルは違うけれど、日本の女性がどういうアイテムを好むのか、“今”何を必要としているのかを知りたいわ」
我が家のルールは、朝食を家族全員でとること
ーー日本の女性のファッションをどう思う?
「あまり詳しいわけではないけれど、とてもフェミニンで女性らしいという印象があるわ。街を歩いていると、オシャレに着飾っている女性がすごく多くて、刺激的よ!でも正直、女性よりも男性のファッションの方が強く印象に残っている。フランスの男性はファッションに無頓着でオシャレしない人が多いけれど、日本の男性はオリジナリティがあってバラエティに富んでいるわ。日本の伝統技術である藍染めの美しさにもとても感動した。トラディショナルとモダンのミックスにも長けていて、素晴らしい。既にその魅力は世界中に広まっているけれど、ローカル文化や製造技術など、まだまだポテンシャルを感じる。近いうちに日本を訪れるのを楽しみにしているわ!」
ーー6歳の娘さん、2歳の息子さんの母親という顔もお持ちですよね。仕事と子育てを両立する秘訣とは?
「夫婦で協力することが欠かせないし、何事にも準備が大切ね。我が家のルールは、朝食を家族全員でとること。最低でも1時間は共有するから、朝が早いわ。週末も家族でゆっくり過ごすことにしている。夏のバカンスも毎年家族旅行に出かけて思い出を作り、今年はギリシャに行ってきたの。平日日中は仕事に集中し、週末やバカンスは家族との時間を存分に楽しむ。はっきりとした切り替えがあることで、仕事と子育て両方に一生懸命になれるわ」
interview & text: ELIE INOUE
-
問い合わせ先/イトキン カスタマーサービス tel. 03‐3478‐8088
http://www.tarajarmon.jp/
-
コロンブ・カンパナ(COLOMBE CAMPANA)
1981年パリ生まれ。パリのモード専門校スタジオベルソー卒業後、「カプシーヌ ピュエラリ」や「ソニア リキエル」、「クローディ ピエルロ」などでキャリアを積む。その後「アンドアザーストーリーズ」の立ち上げメンバーとなり、6年間レーベルのチームをマネージメント。2017年3月に「タラ ジャーモン」のアーティスティック・ディレクターに着任。彼女のパリジェンヌらしい感性を吹き込んだ新作は一部、2017年秋冬シーズンからショップに。