エディターズPICK 2017/11/2(木)
#VLTN キーワードは“相反するものの共存”と"フリーダム”

「ヴァレンティノ」が発信する“グラムレジャー”とは? ピエールパオロ氏に直撃インタビュー

2017年10月26日(木)から開催中の、「ヴァレンティノ」2018リゾートコレクションを展開する期間限定ポップアップストア「VLTN トウキョウ ポップアップ ストア」。そのオープンに合わせて、クリエイティブ・ディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリ氏が来日。このコレクションに込めた想いやクリエーションの源について、エル・オンラインに語ってくれた。

photo: ©Kenta Cobayashi, Courtesy of G/P gallery

ピエールパオロ氏が単独でコレクションを手掛けるようになって約1年あまり。今年の10月、2018春夏コレクションで魅せたランウェイショーは、ラストに拍手喝采が鳴りやまないほど賞賛の声で満ち溢れた。そんなピエールパオロ氏が、2018リゾートコレクションのテーマに選んだのが“スポーツ”だ。'80年代後半に使われていたブランドのアーカイブロゴを取り入れ、ラグジュアリーな素材をストリートに落とし込んだアイテムは、まさに“グラムレジャー”そのもの。このカプセルコレクションへの想いや、クリエーションに対する情熱をピエールパオロ氏にインタビュー。

 

―ーこのコレクションでスポーツに着目した理由は?

「メゾンにおけるデイウェアに、新しい表現をもたらしたいと思ったからです。もちろん『ヴァレンティノ』はラグジュアリーブランドであり、クチュールですが、“クールなクチュール”であることが重要。だからこそ、ストリートやスポーツというコンテンポラリーな要素を盛り込みたかったんです。僕が考えるコンテンポラリーとは、相反するものの共存。例えば、ハイ&ロー、デイ&ナイト、スペシャルオケージョン&デイウエア。クチュール&スポーツはコンテンポラリーそのものなんです」 

 

―ー2018春夏コレクションでも“スポーツ”の要素が強く反映されていましたね。

「スポーツはユニバーサルなものだと思うんです。僕が考えるユニバーサルの意味とは、ある一定のものを排除するのではなく、すべてを包括するもの。すべてを包含するコンセプトでありながら、スポーツをするというのは非常にパーソナルですし、スポーツをする身体も自分のものですよね。ユニバーサルとパーソナル、その両方があるのがスポーツのいいところだと思うんです。だから、クチュールにもスポーティな要素を取り入れるのが好きなんです。2018春夏コレクションで、イブニングドレスのインにタンクトップを合わせていたように」

「ヴァレンティノ」2018春夏コレクション photo: IMAXTREE

ーーVLTNコレクションのなかで特に気に入っているアイテムは?

「サテン素材のトラックスーツがアイコニックなアイテム。スポーツというテーマを掲げたならば、非常にオーセンティックで実際に着ることができる本物感を追求するべきだと思ったんです。と同時に、『ヴァレンティノ』のクチュール感も必要。それは素材やステッチで表現しました。この一着に、ラグジュアリー、クール、スポーツ、ストリート、そしてヒップホップというアイディアが盛り込まれているところが気に入っています」

 

ー―アイテムとてもカラフルですよね。

「僕は色にもつ意味を違う概念で解釈するのが好きなんです。気に入っている色の組み合わせは、レッド×ピンク。レッドはメゾンのアイコニックなカラーで、ピンクは僕にとってはパンクを表す色。大好きな色のひとつです」

日本限定カラーの“フリー ロックスタッズ スパイク ミディアム ショルダーバッグ” (W23.5×H15.5×D6cm)¥300,000/ヴァレンティノ(ヴァレンティノ インフォメーションデスク) photo: VALENTINO

ーーポップアップショップ開催地のひとつに東京を選んだ理由は?

「日本の文化が好きなのももちろんですが、日本の人たちがファッションをどう受け止めるかという感性にとても興味をもっているんです。ファッション業界ではない人の着こなしもとてもユニークですし、ファッションというものに非常に意識が高い国だと思います」 

 

ーーこのコレクションをどんな人に着てもらいたいですか?

個性のある人、アイデンティティをはっきりと強くもっている人が好きなので、そんな人に着てほしいですね。僕にとって理想の女性像はひとつではなく、いろんな人がさまざまな個性を発揮している状態が好きなんです。だからこそ、男女問わず、自分なりの着まわし、着こなしをしてほしい。僕から見たら同じアイテムでも、人によって全然違うアティテュードやスタイルで着てもらうことが僕の喜びでもあるんです。いろんな個性をもつ人が流動的に行き交っている状態が好き。人種、性別、年齢の境界線はそこにはありません。いつだって“自由”がキーワードなんです!」

ーーオートクチュールからレディ・トゥ・ウェア、アイウェアまで幅広く手掛けてらっしゃいますが、共通点や役割などありますか?

「すべてに共通する価値観は“クール・クチュール”。例えばアイウェアは、オーセンティックでありながら、コンテンポラリーな解釈を加えています。重要なのはクチュールだからと言って無理難題をこなすのではなく、やることなすことすべてに敬意をもつということなんです。レディ・トゥ・ウェアでもそういった姿勢は活用できると思うんです。つまりTシャツはクチュールではないですが、素材すべてに手をかけて着てもらう人に敬意を表します。そしてそれを着る人は、決して自慢してひけらかすのではなく、自分自身の心地よさのために着る。クチュールもレディ・トゥ・ウェアも、アイテムと着る人の心の距離が近くなってほしいという思いで作ってます」 

「ヴァレンティノ」2018春夏コレクションにて。photo: IMXTREE

ーーひとりでデザインを手掛けることになり、変化したことは?

「もちろん、いろんな変化はありますが、数ある変化のなかでも大きいものをひとつ挙げるとしたら、以前より自然にアイディアを出せているとうこと。熟考して入念に計画してというのではなく、もう少し自由に、僕自身のパーソナルな思いがより深くクリエーションに反映されています。すべてが繋がっていて、躍動感あふれるコレクションになっていると、僕には感じられるんです」

「VLTN トウキョウ ポップアップ ストア」の店内。photo: VALENTINO

ーー日本人で尊敬している人は?

「川久保玲さん。彼女はデザイナーというよりアーティストだと思います。欧米人と日本人は文化も育ちも違うので、美的感覚が全然違うんですよね。典型的なヨーロッパ人はギリシャがルーツなので、シンメトリーが美しいという感性で育っているんですが、それに対して日本はより不完全なものが美しい、時間の移ろいが美しい、儚いものが美しいという感性。実は、僕は美的感覚がそっちに寄っているんです。だから、川久保さんの美的感覚には非常に共感するし、それ以外にもたくさんのアーティストを尊敬しています。芸術家の杉本博司さんは奥ゆかしい伝統的な日本、現代美術家の村上隆さんはパーソナルなものを深く、そしてポップな形で表現している。川久保玲さんは移ろいやすい美、写真家の荒木経惟さんはセクシュアルなコンプレックス美を表現していると思うんです」 

 

ーー日本の文化にもお詳しいですよね。

「日本の文化で何が好きかというと、儀式があるところ。ひとつひとつの所作に儀礼や儀式があるところが好きなんです。儀礼や儀式は個人にとってパーソナルで親密なもの。こういったことが私の学びになっており、私のクリエーションにとってプラスになっていると感じています」 

 

「VLTN トウキョウ ポップアップ ストア」は11月19日(日)まで開催中。ピエールパオロ氏が考えるクール・クチュールやグラムレジャーを体感できるこの機会に、ぜひ足を運んでみて。

  • VLTNトウキョウポップアップストア
    2017年10月26日(木)~11月19日(日)
    東京都渋谷区神宮前4-21-8
    営業時間 11:00~20:00
     
    https://www.valentino.com/vltn
    #VLTNTokyo

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