【vol.1】大統領の消された妹:アメリカのファッション史を築いたケネディ家の女たちの光と影
ジャクリーン・ケネディ・オナシス、その妹のリー・ラジウィル、ジョン・F・ケネディJrに嫁いだキャロリン・ベセット・ケネディ。ファッション・アイコンとして今もなお絶大な人気を誇り、現在も影響を与えているケネディ家の女性たち。でもその陰で人知れず存在を葬られた長女がいた……。華麗なる一族に隠された悲劇の長女、ローズ・マリーの人生が最新の資料に基づき1冊の本「ROSEMARY The Hidden Kennedy Daughter」として出版されたばかりの今、ケネディ家の女性たちのパワーを振りかえれば、その分だけ強かった影の部分も見えてくるはず。初回は大統領の妻、ジャクリーンの物語。
【大統領の妻】ジャクリーン・ケネディ・オナシス:聖女から悪女へ、そして静かな晩年。アメリカに最も愛され、最も嫌われた女性
取り立てて美人とは言えず、絶世のスタイルを誇るわけでもない。しかしジャクリーンはファッションと知性で自分を魅力的に見せる演出術を知り尽くしていた。
2歳から乗馬を始め、アメリカの名門フィニッシング・スクール、ミス・ポーターズ・スクールに通い、大学ではフランス文学を専攻。在学中にソルボンヌとグルノーブル大学に留学し、フランス語にさらに磨きをかけたジャクリーン。卒業アルバムに書いた彼女の野心は「主婦にならないこと」。他の上流家庭の子女と同じく、17歳で社交界デビューを果たすが、通常は皆、名の知れたデザイナーにドレスを作ってもらうところ、ジャクリーンは既製服(プレタポルテ)を選んだ。にもかかわらず、当時ハースト社を中心に“チェリー・ニッカーボッカー”のペンネームでコラムを書いていたイゴール・カッシーニ(デザイナー、オレグ・カッシーニの弟)の目に留まり、その年のデビュタント・オブ・ジ・イヤーに選出される快挙を成し遂げた。
その後、大学卒業後は記者兼カメラマンとして働き始め、結婚前に上院議員ジョン・F・ケネディにインタビューをする機会を得る。これが今でも伝説となっているケネディ夫婦の出会いだった。
Photo:GETTY IMAGES Text:Ryoko Tsukada
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(参考文献)
ローレンス・リーマー「ケネディ家の女たち」
Edward Klien 「Just Jackie : Her Private Years」
ネリー・ブライ「ケネディ家の悪夢 セックスとスキャンダルにまみれた3世代の男たち」
クリント・ヒル「ミセス・ケネディ 私だけが知る大統領夫人の素顔」