ピエール・ポランに惹かれる理由とは?
映画『007/ダイヤモンドは永遠に』やドラマ「スペース・1999」を見た人なら、ピエール・ポランの作品と出会っているはず。60年前も今も世界中のクリエイティブな人々を惹きつけてやまないデザイナー、ピエール・ポランをクローズアップ!
Innovative Design 知っているようで知らない、ポランの生き方と仕事について
ピエール・ポランはデザイン界に新たな1ページを書き加えた、フランスを代表する偉大なデザイナー。第二次世界大戦後、人々が物質的にも経済的にも豊かな暮らしを求めていた時代、1953年にデビュー。イームズに刺激され、北欧のデザインに惹かれ、日本の美学から影響を受けた。世の中のニーズに応えるべく、新技術を使った画期的な作品を手がけたポランだが、'70年代のポップカルチャーの象徴だと言われるたびに「ノン」と言い続けた。ヴェルナー・パントンと友人であった彼は、「ヴェルナーも私も決してポップではない。彼はデザイナーというよりは素晴らしいカラリスト、そしてスタイルメーカーだね」と語っていたという。
'50年代からすでに「椅子にはなぜ脚がなければいけないのだろうか」と考えていた彼は、それまでにはなかったストレッチ素材の布を使ったスツール「マッシュルーム」をデザイン('60 年)。以降、柔らかくて美しい、独創的なフォルムの作品を次々と生み出していく。最初は水着やタイツの生地を使って試作を重ね、ついに実現させたという。彼がデザインしたプロダクトは、世界各国のコレクターから愛用され、今も製造販売され続ける。「リボンチェア」や「タンチェア」などはデザイン界のアイコンとなり、パリのポンピドゥー・センターやニューヨーク近代美術館(MoMA)など、世界中の美術館のコレクションの仲間入りをしている。
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Realization&Text : EKO SATO, MYRTILLE DOZE