なぜテイラーはノミネートされない? 白人がいなくなったグラミー賞2018を徹底分析
2018/01/27(土)
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エミー賞2017のコメディ部門で、主演男優賞と監督賞をW受賞したドナルド・グローバー(Donald Glover)ことチャイルディッシュ・ガンビーノ(Childish Gambino)

役者、脚本家としても活躍するチャイルディッシュ・ガンビーノ

この年間最優秀アルバム賞についても余談を許しません。最右翼はジェイーZ、ケンドリック・ラマーのいずれかだと思いますが、チャイルディッシュ・ガンビーノという伏兵も控えている。彼の本名はドナルド・グローバー。普段は役者、脚本家としても活躍しています。次回の『スター・ウォーズ』スピンアウト映画『ハン・ソロ』でも、ハン・ソロの悪友ランド・カルリジアン役で出演することが決まってます。昨年、「今の世の中の黒人が置かれた立場ってかなりおかしなことになってるよね?」というテーマで彼自身が脚本を書き、自ら主演したドラマ「アトランタ」はエミー賞を筆頭にアワードを総なめ。

人気トーク番組「ザ・トゥナイト・ショー」で上裸で「レッドボーン」を歌うチャイルディッシュ・ガンビーノ

しかも、年間最優秀レコード賞にもノミネートされた「レッドボーン」はやはり今年のオスカーにも多数ノミネートされている映画『ゲット・アウト』の主題歌でした。もしいずれかの部門での受賞を果たすと、グラミー賞、エミー賞、アカデミー賞、トニー賞の四冠を果たすという快挙。そこにも期待が集まっているわけです。

2014年に史上最年少となる17才でのグラミー賞年間最優秀楽曲賞受賞したロードの2017年にリリースした新曲「グリーン・ライト」

そして、予想外の成功の結果、セレブ界に放り込まれたことに対する戸惑いや、そこでのしかるべき生き方を等身大の女性の立場から描いたロードの2ndアルバム『メロドラマ』も控えています。テーマ的には盟友テイラーのアルバムとは正反対でもあり、似通っているとも言えます。唯一の女性ノミニーですから、ここがロードという選択肢もありえなくない。やはりこの部門も大混戦なのです。

Text: Soichiro Tanaka Photo: Getty Images, Aflo

  • 田中宗一郎/音楽サイト「ザ・サイン・マガジン」のクリエイティブディレクター、音楽評論家、DJ。1963年、大阪府出身。雑誌『ロッキング・オン』副編集長を務めたのち、1997年に自ら音楽雑誌『スヌーザー』を創刊。その後、2013年秋にWEBメディア「ザ・サイン・マガジン」を開設。『スヌーザー』がオーガナイズするクラブイベント、クラブ・スヌーザーは全国各地にて現在も開催中。@soichiro_tanaka

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