グラミー主要3部門は誰が取ってもおかしくない熾烈な戦い
この問いに明確に答えるのはとても難しい。なぜなら、今年のグラミーは主要3部門すべてにおいて熾烈な戦いが予想されるからです。特にシングル曲に与えられる年間最優秀レコード賞と、その曲を書いたソングライターに与えられる最優秀楽曲賞については誰が獲ってもおかしくない。大混戦状態なのです。
そうなった理由も簡単。2016年は素晴らしいアルバムが量産された「アルバムの年」だったんですが、2017年はアーティストの多くがアルバムを作ることよりも優れた曲を作ることに腐心した「ソングの年」だったからです。では、もしテイラー・スウィフトがグラミー2018にノミネートされていたとしたら?
正直、苦しい戦いだったと思います。その理由のひとつは、テイラー・スウィフトの『レピュテーション』という作品はヒット・シングルを狙ったというよりは、優れた「アルバム」を目指した作品だったから。それ以前の「等身大の女性」としての自分ではなく、「ポップ・アイコンとしての評判」をテーマにした、ある意味、コンセプト・アルバムを作った。それ故、2016年同様、年間最優秀アルバムは狙えても、完全混戦状態の主要2部門は難しかったかもしれない。というのが筆者の見立てです。では、実際のところを予想していきましょう。
Text: Soichiro Tanaka Photo: Getty Images, Aflo
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田中宗一郎/音楽サイト「ザ・サイン・マガジン」のクリエイティブディレクター、音楽評論家、DJ。1963年、大阪府出身。雑誌『ロッキング・オン』副編集長を務めたのち、1997年に自ら音楽雑誌『スヌーザー』を創刊。その後、2013年秋にWEBメディア「ザ・サイン・マガジン」を開設。『スヌーザー』がオーガナイズするクラブイベント、クラブ・スヌーザーは全国各地にて現在も開催中。@soichiro_tanaka