ビタミンAのもとになるβ-カロテン
フランスでにんじんといえばキャロットラペ。千切り状のにんじんをオリーブオイルと塩などであえるだけの簡単なレシピなので、前菜やサラダ、また付け合わせとして家庭でも登場する頻度が高い。クラシックなレシピではディジョンマスタードやシードルビネガーなどを使う。にんじんの栄養価で特筆すべきはβ-カロテン。ビタミンAのもととなり強力な抗酸化力をもつ成分として知られ、ビタミンAに換算すると、成人男子の1日の必要量の2倍以上のβ-カロテンが含まれている。美肌はもちろん傷の修復作用や整腸作用にも非常に優れた素材でもある。
効果が別格の高麗にんじん
近年、にんじんからダウカリンという新たな成分が抽出され、血管拡張作用をもつことが判明し、話題になっている。また、高麗にんじんにともいわれる薬用にんじんは、女性ホルモンの一種であるエストロゲン様の物質を含みむほか、非常に多くの薬効があることが知られている。入手も難しく高価だが、生薬やハーブのなかでも特に心身への効果が高いアダプトゲンのひとつに数えられる。
ヴァルネ博士のにんじんレメディ
効果/強壮効果、ミネラル補給、抗貧血効果(赤血球とヘモグロビンを増加させる)、免疫力強化、腸のコントロール(下痢止め、下剤)、利尿効果、母乳量改善、傷口の回復・治癒
にんじんの皮はもっとも栄養が豊富で味もある部分なので、むかずに使うこと。汚れが気になる場合は冷たい水にさらしたあとに、ブラシでこするとよい。
にんじんでビューティ&ヘルスケア
■便秘に効くにんじんスープ
にんじん1キロを1リットルのお湯で2時間ゆでて、ブレンダーにかけたスープにする。
夜寝る前に飲むと朝が快適に。
■整腸に効くにんじんスープ
にんじん450gを1センチ角にカットする。1リットルのお湯で柔らかくなるまでゆで、こし器でこす。沸騰したお湯を加えて総量を1リットルにして、海塩小さじ1/2を加えて味を整える。
下痢などの症状を緩和する。2~3日のうちに飲み切ること。
■やけどに効くおろしにんじん湿布
できたばかりの傷口ややけどの患部に、すり下ろしたにんじんをのせてしばらく放置すると、症状が緩和される。
■にんじんローション
にんじん2本をすり下ろし、こしてとったジュースをローションとして顔や首のケアに。
柔軟で潤いのある肌に。しわを防ぐ効果も。
※効果には個人差があります
photo : Yusuke Kinaka
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日下部知世子
Chiyoko Kusakabe/フランス、マダガスカルなどでアロマテラピー(芳香療法)・フィトテラピー(植物療法)を修める。故ジャン・ヴァルネ博士よりアロマの哲学を受け継ぎ、後継者マダム・ティフィーヌに師事。2001年ヴァルネ夫人より正式継承者として承認される。国内・海外を含めたスパ施設のプロデュースやコンサルティング、心身に効果をもたらす化粧品開発でも活躍。
http://chiyokokusakabe.com/