“精油はスピリチュアルなアプローチ”
精油といえばアロマテラピーと切っても切れないもの。薬効のあるハーブから抽出した精油には品種によってさまざまな効能があり、古来の人々が発見した知恵から受け継がれてきた。外傷や虫刺されに効くもの、血行を促進したりホルモンバランスを整えたりすて体の不調を解消するもの、リラックスや安眠を誘うもの、といったさまざまな使い方のできるハーブがある。
しかし、ベルカメル博士によるとモロッコでは、こと精油に関してはまた違った側面での捉え方があるようだ。「植物療法を通して、我々は身体的かつ精神的な健康を維持します。精油はそのうち、より精神的、つまりメンタルでスピリチュアルなアプローチと考えられています」。イスラムの教義のなかには、たくさんのものを授けてくれる植物を慈しみ、大切にせよ、との教えがすでにある。そうしたかけがえのない植物から何かを受け取ることは、それだけで精神性が高揚し、慈愛の気持ちが生まれるのだという。「崇高な真実のもとに心と体が一体となり、信じる心で満たされ、そのことが肉体をも癒すのです」。現代医学でも、精神面が肉体に影響を与えるメカニズムが解明されつつあるが、アラビアの人たちはすでにイスラムの教えのもとでそのことを知っていたというのだ。「人間と自然は共に尊び、敬いながら共存する関係です。そのことが精神と肉体との調和を図り、真の“創造”が生まれます」。ベルカメル博士は、人と自然の在るべき姿を教えてくれた。それは、モロッコの人々が当たり前のように実践してきたものだったのだ。
-
[植物と五感でコミュニケーションできる場所]
訪れるなら予約するのがベター。庭園を見ながらのんびり足湯に浸かるのもおすすめ。Le Jardin Bio-aromatique d'Ourika ウーリカ・ビオアロマ庭園
Lot Pinatel B.P 142 Tnine Ourika Haouz
tel. +212 (0) 5 24 48 21 49公開時間/9:00~17:00(夏季は~18:00) 無休
入場料/15DH(ガイド付き 60DH)
英語OK
photo: Hiro Itsushima coodination & interpreter : Shoko Okamoto, Chiyo Sagae
special thanks: Rose de Marrakech