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photo : Imaxtree

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悩みに対処するためのシンプルな脳の体操

1. セロトニンのリズムを意識する
悩みや不満を克服して、穏やかで安定した気持ちになれるのはセロトニンの作用。ハッピーだと脳が感じるにはセロトニンの分泌が鍵となります。このセロトニンは、1分間に120をカウントするくらいの、やや早めのリズムのときに多く放出されるといわれています。生活のなかでリズムを意識して、食事を噛んだり、歩いたり、歌ったりすることで、メンタリティが整います
 
2. 事実確認をしてみる
過去があいまいなほど、未来もあいまいになります。自分自身を知りたい、未来が見えないと思ったら、過去に立ち戻って事実関係を確認しましょう。事実を確認して記憶を整理すると、これからどうしたいか、何をすべきかがクリアになります。人が未来のことを想像するとき、脳は過去を検索しています。来年こそは、と考えるとき、脳内では、今年はこれができなかったから、といった具合に過去と対比させています。未来が見えないときは、過去の記憶が整理されていない、もしくは修飾飾り付けされて本当のことがわからなくなっていることが多いのです。大事なのは感情的なことではなく、あくまで事実に基づいて整理していくということ。具体的であればあるほど、未来が想像しやすくなります。そのころに一緒にいた人、たとえば同級生、当時の先輩や同僚といった人たちと会って、その時期に自分がどうであったか、何をしていたかを聞くのもいいですね。過去を思い出したくないという場合は、その気になったときにやれば構いません。女性にとってはタイミングも大事。その気になったとき、気が向いたときに行うことが一番効果的です。振り返れるタイミングは、いつかやってきます。必ずきっかけはあります。
  
3. 情報断食で不安を軽減
不安や恐怖を感じるときは、情報過多になって脳が興奮しています。インターネットやテレビ、メールなどの情報にずっと触れていると、絶えず判断を迫られ、その結果、常にドーパミンが放出されます。メディアだけでなくコミュニティも同様です。飲み会などたくさんの人が無秩序に語る席や、主婦の井戸端会議は、ストレス解消にもなりますが、メンタルが落ちているときには不安を招く場となります。また大型のショッピングモールといった雑多なところは、不必要な情報が多く入ってくるため脳は忙しくマスキングして疲労します。そこで、一定期間、情報に触れない時間を作ってみましょう。「興奮→不安」というサイクルから解放されて、何も起こらない穏やかな状態を作ることができます。“週に半日”や“夜寝る前の2時間”などを、PCは立ち上げずテレビもつけず、携帯の画面も見ない時間、と決めてしまいましょう。情報やネットワークから遮断された場所に行くのも良い方法です。受け取る情報量を減らすことで、本当に必要なひとつひとつの情報を選別できるので、情報との付き合い方が上手になります。そうすれば不安も、だんだん減ってくるでしょう。人によっては情報を遮断することに不安を抱くかもしれませんが、そう思うこと自体が離脱作用。自分ができる範囲以上はトライする必要はありません。
 
4. 声を出して言葉にする
今日気づいたことを口にしてみましょう。自分の言葉で表現することは、考えを整理することの最良の方法です。言語化することは頭の中でシミュレーションすることなので、しゃべるだけで脳内では“行動”をしていることにもなります。体を動かさずとも体験し、イメージすることができるんですね。しゃべることで、一度脳のなかで体験すれば余分な気負いを軽減でき、実際に使うエネルギーやエラーが少なくなります。これは、車のなかやお風呂のなかなど、シーンを選べば簡単にできること。自分の言葉で表現できることは健全なしるしです。ポイントは、インタビューに答えるように話すこと。慣れないと気恥ずかしかったり難しいと思ったりするかもしれませんが、日常的にやっていると確実にうまくなります。自分の思いがうまく言葉にできるようになれば、悶悶としていたことは解決したも同然です。

  • 菅原洋平先生
    Yohei Sugawara/作業療法士、心理カウンセラー、睡眠改善インストラクター。ユークロニア代表。脳の働きとヒトの行為がもっとも反映されるのは精神科医療だと考え、精神科作業療法に従事。睡眠を改善し、脳とからだの力を発揮させる「スリープメソッド」を開発。誰でも簡単に実施でき、薬物療法だけに頼らずに睡眠を改善するサービスを提供する。著書『あなたの人生を変える、睡眠の法則』(自由国民社)。エル・オンライン ビューティチャンネル連載「新メディカル・ビューティ講座」も好評。
    ユークロニア http://activesleep.net/active-sleep/
    公式ブログ http://ameblo.jp/activesleep/

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