グルメハンター 2018/4/25(水)
ブレッドハンターNAOKOの粉物狙い撃ち!

最終回は京都へ! 実直に、着実に“深化”を続ける「ナカガワ小麦店」

2012年にスタートしてから早6年。「ブレッドハンター」がついに今回(vol.113!)で最終回と相成りました。ラストにご登場いただくのは、京都の人気ベーカリー!

最終回は京都へ! 実直に、着実に“深化”を続ける「ナカガワ小麦店」

こちらは特別な日の食卓や贈り物にもぴったりなパン3種。奥から、有機全粒粉から起こした自家製ルヴァン種を使った「パン・オ・ルヴァン」、レーズンから起こした天然酵母と全粒粉を100%使った「パン・コンプレ」、「パン・オ・ルヴァン」の生地にくるみとスペイン産のいちじくを入れた「フリュイ・ルヴァン」。
 
「パン・オ・ルヴァン」は穏やかな酸味で食べやすい点もさることながら、ふるふるとした水分量の多い質感がまた魅力。日本人好みの食感で、合わせる料理の幅も広いであろう、まさに“日々の糧”なパン。よりしっかりした食感がお好みの方は「パン・コンプレ」を。店頭に並ぶプライスカード曰く“旨味を詰め込んだ、小麦のパテ”。こういう表現、わたくし大好きです。作り手の世界観までお裾分けいただいているかのような、パンの魅力をより高めてくれる想像力の魔法。「フリュイ・ルヴァン」は上質ないちじくやくるみが気前よくガツンと入っているところが素晴らしい。“おいしいものをしっかり食べてほしい”という気概が伝わります。

最終回は京都へ! 実直に、着実に“深化”を続ける「ナカガワ小麦店」

“日々の糧”代表格にして、ベストセラーの「トースト・モンターニュ」。有機小麦粉100%の山型食パンです。こ、これは……。前ページの写真にあるように、きりっと棚に並んでいたときからは予想ができないほど、ふるふる、ぷるぷる。ナイフを入れるとしっとりやわらかすぎて(!)くにゃっとくぼんでしまうほど。何だか愛おしさすら感じる、触れても切っても儚げな生地です。「湯種ということもあって、ぷりぷりしてますね。加水率(小麦粉に対する水分の比率)は90%後半。北米産の有機小麦を使っていますが、今年は特に吸水がよいので入るがままに入れています。それが自然かなと(笑)」(中川さん)。ちなみに同じ生地のプチパン、「プチ・モンターニュ」もあります。これはもう、ぷくっとした見た目からしてただただ愛おしい(笑)。

最終回は京都へ! 実直に、着実に“深化”を続ける「ナカガワ小麦店」

「オープンした時からパンのラインナップはまったく変えていませんが、“中身”はどんどん変えています。日々おいしくしたいという思いのもと、よりよい材料があればそちらに、よいレシピがあればそちらに。例えば小麦粉ですと、昨年北海道で出あった自然栽培のものを取り入れ始めました。種類も見た目も変わり映えがないかもしれませんが、食べるたび『なんや知らんけどおいしなってんな』と思っていただけると本望ですね。同じ品物でも、どんどん価値をあげていきたい。より“深く”が今後の課題です。ぱっと見はわからなくても、こちらの“幹”を太く深くしていけば葉もいきいきしたものになるし、お客様にも何かが伝わると思っています」
 
「お客様には子供も多いんです。うちのパンを食べた記憶がなかったとしても、大きくなった時に“気づき”のきっかけになれたら嬉しいですね。例えば、ジャンクフードが好きだったとしても、旅先で自然のものを食べて“何かこの感覚、懐かしいな”と思ってくれたら。お客様の記憶にそんな形で滑り込むことができたら、こんなに嬉しいことはありません」
 
“深化”という進化を続ける中川さんのパン。初めてお会いした時も「これはいいパン屋さんができるわ……」と(僭越ながら)強く確信しておりましたが、こちらの浅い予想を遥かに超えて、小麦店はこれからも深く太く根を成長させていくであろう、清々しくてまっすぐな信念に満ちた場所でした。5年後、10年後に伺っても、きっとパンは同じ種類で、それでいて“中身”はぎゅんぎゅん変化しているんでしょうね。自分という“入れ物”は変わらず、内面は深化と進化。わたくしもかくありたいものです。いやー、最終回ということで思い切って伺って本当によかったです……!
 
改めまして、読者の皆さま、連載中お忙しいなか取材にご協力いただいた皆さまに心よりお礼申し上げます。またどこかで自分の文章が皆さまのお目に留まる機会があることを祈りつつ……長い間お付き合いいただきありがとうございました!
 
クロワッサン ¥180
パン・オ・ショコラ ¥200
ベーグル ¥160
ベーグル・ノア ¥180
パン・オ・ルヴァン ¥840(ハーフ¥420、1/4¥210)
パン・コンプレ ¥620(ハーフ¥310)
フリュイ・ルヴァン ¥270
トースト・モンターニュ ¥620(ハーフ¥310)
プチ・モンターニュ ¥80
※上記の価格はすべて税込み(いずれも取材時の価格になります)。

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photo & text : Naoko Monzen

  • なおこ

    NAOKO●フリーランス 編集/ライター、門前直子。大学卒業後、アシェット(現ハースト)婦人画報社に入社。『エル・ジャポン』、『エル・ガール』、「エル・オンライン」編集部を経て独立。主にファッション、フード、ライフスタイルのジャンルで活動中。セレクトショップ「ドローイングナンバーズ」ではワイン&フードのセレクトも担当。J.S.A認定ワインエキスパート取得。
    https://www.instagram.com/gkgkmgmg/

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