伊藤彰紀/写真家
世界は美しさに満ちている! 躍動感あふれる人生賛歌
ジャック=アンリ・ラルティーグ(1894~1986年)
「ラルティーグの写真は、自分が撮るときに参考にするほど好きです。彼の人生の楽しさが、そのまま映し出されていますよね。被写体との距離感も近く、偶然が生む愛すべき瞬間をフィルムに焼き付けている。このドキュメンタリータッチが、見ている側も幸せにしてくれます」
フランス有数の資産家の家に生まれ、幸せな時間=“逃げ去るものたちの記録”として写真を撮り始めたラルティーグ。個人的な楽しみとして撮りためていた写真がエージェントの目にとまり、70歳目前でデビューしたという異色の作家でもある。
一枚のアルバムのような完成度の写真集
ピーター・アーネル(1958年~)
砂浜に寄せる波とヌードの脚だけで構成されたモノクロの写真集、『SONIA』。「明確なコンセプトに支えられた、一冊を通して見えてくる世界に引き込まれます。まるで一枚のアルバムを聞いているよう。ヌードだけれど気品があって、緻密に計算された“ファッション写真”だと思います」
写真家でありアーティスティックディレクターでもあるピーター・アーネルの美意識が冴える。
レンズに映るすべてをとらえようとする気概
コト・ボロフォ(1959年~)
「エルメス」の工房に入ることを初めて許された写真家として知られるコト・ボロフォ。ロールス・ロイスやシュタイデルといった一流のクラフツマンシップを写真に収め、ドキュメンタリーとファッションの領域を縦横に行き来する。
「ひとつのテーマをとことん突き詰めようとする集中力に引かれます。レンズに映るものを何ひとつ逃すまい! っていう気迫がすごい。納得いく一枚にたどり着くために、たくさん切って(撮って)るんじゃないかと思います(笑)」
photo:ASA SATO, KEITA/flame text:RYOKO KURAISHI
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