エディターズPICK 2015/11/25(水)

【vol.2】大統領の消された妹:アメリカのファッション史を築いたケネディ家の女たちの光と影

ジャクリーン・ケネディ・オナシス、その妹のリー・ラジウィル、ジョン・F・ケネディJrに嫁いだキャロリン・ベセット・ケネディ。ファッション・アイコンとして今もなお絶大な人気を誇り、現在も影響を与えているケネディ家の女性たち。でもその陰で人知れず存在を葬られた長女がいた……。華麗なる一族に隠された悲劇の長女、ローズマリーの人生が最新の資料に基づき1冊の本「ROSEMARY The Hidden Kennedy Daughter」として出版されたばかりの今、ケネディ家の女性たちのパワーを振りかえれば、その分だけ濃かった影の部分も見えてくるはず。2つめの物語は、大統領の義妹でジャクリーンの実妹、リー・ラジウィル。

リー・ラジウィル(Lee Radziwill)

悲劇とカリスマ性により真のファッション界の女王に

1994年には姉を失い、1999年には甥であるジョン・F・ケネディ・Jrの飛行機事故で失い、さらにその数週間後に、息子アントニーを10年間の闘病の末がんで亡くしている。2001年には3番目の夫、ハーバート・ロスにも先立たれている。全ての悲劇を見送った2003年に、自伝「Happy Times」を出版。もしかしたら21世紀になって初めて、ケネディ家のカリスマ性が失われた後こそが彼女にとっての「Happy Times」なのかもしれない。

写真左より ピエール・カルダン(Pierre Cardin)、リー・ラジウィル(Lee Radziwill)

2008年にはフランスからレジオン・ドヌール勲章を授与される。授与式は現代フランスを代表する哲学者、ベルナール・アンリ・レヴィとその妻アリエル・ドンバルの自宅で行われた。2009年にはリーのパリとマンハッタンの家が『エル・デコ』で特集され、2013年にはガーディアン紙の「50歳以上のベストドレッサー50人」にも選ばれている。また、1999年に亡くなった息子アントニーの妻、キャロル・ラジウィルがリアリティ番組「The Real Housewives of New York」の第5シーズンに出演しており、時代の目撃者としての注目度が再燃したとも言える。ジョルジオ・アルマーニ以降、ファッション業界との繋がりは現在も強く、現在はソフィア・コッポラ、マーク・ジェイコブズ、ジャンバティスタ・ヴァリなどから敬愛されている。
 
>>第3回 ドラマになった大統領の息子の妻、キャロリン・ベセット・ケネディの物語へ続く 

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Photo:GETTY IMAGES Text:Ryoko Tsukada

  • (参考文献)
    ローレンス・リーマー「ケネディ家の女たち」
    Edward Klien 「Just Jackie : Her Private Years」 
    ネリー・ブライ「ケネディ家の悪夢 セックスとスキャンダルにまみれた3世代の男たち」 
    クリント・ヒル「ミセス・ケネディ 私だけが知る大統領夫人の素顔」

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