【vol.2】大統領の消された妹:アメリカのファッション史を築いたケネディ家の女たちの光と影
ジャクリーン・ケネディ・オナシス、その妹のリー・ラジウィル、ジョン・F・ケネディJrに嫁いだキャロリン・ベセット・ケネディ。ファッション・アイコンとして今もなお絶大な人気を誇り、現在も影響を与えているケネディ家の女性たち。でもその陰で人知れず存在を葬られた長女がいた……。華麗なる一族に隠された悲劇の長女、ローズマリーの人生が最新の資料に基づき1冊の本「ROSEMARY The Hidden Kennedy Daughter」として出版されたばかりの今、ケネディ家の女性たちのパワーを振りかえれば、その分だけ濃かった影の部分も見えてくるはず。2つめの物語は、大統領の義妹でジャクリーンの実妹、リー・ラジウィル。
姉に支配された妹の人生と、よきファッション界の友人たち
ニュートン・コープとリー、2人とも予期していない姉からのおせっかい電話だった。「そんなものは交わしていない」といぶかるが、ニュートン・コープと「妹のため」と契約にこだわるジャクリーン側との話し合いは難航し、両者の弁護士が同意に至らず、結婚式のわずか1時間前、一説によると5分前に結婚は取りやめとなった。妹を常時支配しようとした姉ジャクリーンとリーとの溝はついに埋まらず、姉の遺言書の相続対象の一切からリーは外されていた。
1988年、俳優のクリスチャン・ベールの父親で実業家のハーバート・ロスと結婚する。そのころ、デザイナーのジョルジオ・アルマーニと出会い、意気投合。社交界人脈、ハリウッド人脈の全てを活用して彼のPRに尽力する。その年にロサンゼルス現代美術館で開催された「ジョルジオ アルマーニ」の春夏ショーはマーティン・スコセッシがドキュメンタリー映画として撮影し(同時にコマーシャルも撮影していた)、ジャクリーン・ビセット、シドニー・ポワチエ、スティーブン・スピルバーグ、シェリル・ティーグスらが出席し、その映画『Made in Milan(原題)』のニューヨークでのプレミアにはドリュー・シュライバー、キャロライン・ケネディ夫妻、リチャード・ギア、マット・ディロンが出席した。現在では当たり前となっている、ファッションショーのフロントローを皆が知っている有名人や有力者たちで埋め、マスコミ受け、顧客受けするよう注意深く構成すること。それはこのショーから始まった。
Photo:GETTY IMAGES Text:Ryoko Tsukada
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(参考文献)
ローレンス・リーマー「ケネディ家の女たち」
Edward Klien 「Just Jackie : Her Private Years」
ネリー・ブライ「ケネディ家の悪夢 セックスとスキャンダルにまみれた3世代の男たち」
クリント・ヒル「ミセス・ケネディ 私だけが知る大統領夫人の素顔」