エディターズPICK
2015/09/09(水)

「プランタン」のADに聞く! パリと女性に欠かせない“エレガンス”とは

パリの老舗デパート、プランタンが今年で祝150周年! 創業時から大事にしてきたのは、パリの女性のファッションと切っても切れない関係だという“エレガンス”。長年ウィンドウや広告、カタログなどすべてのクリエイティブを担当しているアートディレクター、フランク・バンシェ氏に、そのエレガンスの真髄を聞いた。これを読めば、明日からまた少しパリジェンヌに近づけるかも!? 貴重な広告ビジュアルで見る女性のファッション遍歴も必見。

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©Printemps

「エレガントな女性。それがプランタンのお客さま」

パリに行ったら必ず覗いておきたいのが、誰もが知るおなじみの人気デパート、プランタン。ショッピングの便利さのみならず、ウインドウを覗くだけでも、凝縮されたヴィヴィッドな“パリの今の気分”を感じさせてくれる、マジックなアドレスだ。特に創業150周年の今年は多彩な企画が目白押しで、なかでもこれまでの広告ポスターを通してプランタンの歴史と女性のエレガンスの変遷を振り返る展示は、パリに旅行予定のファッショニスタなら押さえておきたいところ。 
 
常にトレンドの先行く才能をキャッチし続けるマリア・ルイザをファッション・エディターに迎えたモード部門の注目度をはじめ、独創的なインスタレーションが登場するポップアップストア、アーティストとの刺激的なコラボウィンドウなど、今年はいつも以上に何が飛び出すのか見逃せないプランタン。こうしたアートワークを長年企画・指揮するメゾンのアートディレクター、フランク・バンシェ氏に、プランタンを巡るパリの女性のエレガンスの今昔を伺った。 

©Printemps

質問(以下Q):150周年、おめでとうございます! その長い歴史には、常に女性のエレガンスがあったそうですね。

フランク・バンシェ(以下F):エレガンスはプランタンの歴史であり、DNAと言えるもの。創業時から提供してきた価値観の中でももっとも重要な要素で、150年間のプランタンのポスターの中には、キャッチで何度も『エレガントな女性。それがプランタンのお客さま』と現れるんです。今秋パリで開催される『プランタンの150年史』の展示でも、モードの歴史とエレガンス、ここにいかにプランタンが関わっていたかを、オリジナルポスターを通してご覧いただけます。
 
Q:150年ともなると、女性のモードの変遷もさまざまです。 
 
F:150年間のポスターを眺めてみると、各時代の女性とトレンド、そのエボリューションが本当によく分かるんです。たとえば1930年代のポスターは「エレガンスとリュクスのデモクラシー」と掲げてあり、当時を代表するクチュリエデザイナー、ポール・ポワレに、150点のドレスをプランタンのために提案させている。今でいう、デザイナーとの限定コラボです。 

Q:ポール・ポワレは“脱コルセット”のデザインで女性を解放した人ですよね。 
 
F:そう。今と違って既製服がなくオーダーが当たり前だった時代に、ポワレの服を誰もが買えるようにしたんです。プレタ・ポルテの先駆けでした。先駆けはほかにもあって、実は「SOLD」つまりバーゲンを発明したのもプランタンなんですよ。春を意味するプランタンが、新しい季節を迎えるにあたり以前の商品を一掃したい → それならバーゲンを!とね。 
 
Q:今の私たちにもなくてはならない有意義な発明ですね! ところで、プランタンといえば斬新な広告やウィンドウが印象的です。女性のエレガンスをどう表現してきた? 
 
F:各時代のモードやトレンドの中からもっとも代表的なブランドとコラボすることで、時代のエレガンスというメッセージを届けてきました。近年はファッションセレクトの第一人者、マリア・ルイザを通して、とびきり新しくて若いクリエイターを紹介しています。こうした最初は無名の若いクリエーターを先駆けてフィーチャーすることで、次世代の新たなエレガンスがつくり出されてきました。そうやってこれから先の150年も、プランタンが時代を牽引していくことになると思います。 
 
Q:フランクさんが思う、現代のパリジェンヌのエレガンスとは? 
 
F:現代に限らず、パリジェンヌのエレガンスとは、彼女たちの“アリュール”=品位・品格・身体全体が醸し出すものだと僕は思う。つまり、それらしいものを演じることなく、オーバーメイキングすることなく、それぞれのパーソナル・アリュールを大切にすること。それがエレガンスなのだと、彼女たちは知っている。アリュールとは何か?と問われれば−−。誰かがこの部屋に入ってくる。と、その瞬間に目が離せなくなり、思わず見入ってしまう。それが、アリュールを持った女性なんです。たとえば、「シャネル」のベストに「H&M」のジーンズをミックスし、自分らしく着こなすような……。 
 
Q:つまり高価かどうか、トレンディかどうかではなく、さらに選んだ服に着せられることなく、自分自身が選び取り、着こなす自信にあふれた女性ということ? 型にとらわれない、という意味で。 
 
F:そうです。アリュールのあるパリジェンヌたちは常にフレッシュで、さまざまなエレメントを上手くミックスできるという点で、クリエィティブ。自分らしく自由なコーディネートの巧みさで、時代のモードやブランドと自由に遊ぶ。こうした一人一人のパーソナリティが、エレガンスを作るのだと思うのです。 
 
Q:それは、パリジェンヌだけのもの? 
 
F:「エレガントな女性。それがプランタンのお客さま」が私たちのキャッチなので、エレガントであれば、インターナショナルな多国籍の女性たちも、もちろん当てはまりますよ(笑)。プランタンのDNAはパリ。パリジェンヌと共に育んできたエレガンスそのもの。時代に連れてロック、ポップ、グラムールとスタイルが移っても、いつだってエレガンスはある。それがパリジェンヌであり、プランタンであることを、今度の「150年のパリジェンヌのエレガンス」展で、ぜひ観ていただきたいですね。

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photo:©Printemps  interview & text: Chiyo Sagae

  • PROFILE
    Frank Banchet(フランク・バンシェ)
    プランタンのクリエイティブ・ディレクター。ボン・マルシェのプロジェクトマネージャーとしてウィンドウディスプレイやメンズファッションのマーチャンダイズ経験を経て、1995年にプランタンに入社。ウィンドウディスプレイをはじめ全ビジュアルを指揮。2008年より現職。

    PRINTEMPS HAUSSMANN
    64, BD HAUSSMANN
    75009 PARIS – FRANCE
    tel. +33 (0) 1 42 82 44 39

  • エキシビション「パリのエレガンス」

    プランタン創業150周年を祝して、2015年10月9日(金)~20日(火)の期間、パレ・ロワイヤル広場にて、創業理念のひとつであるテーマ「すべてのエレガントな女性はプランタンのお客様」にちなんだ展示「パリのアーカイブ150年」を開催。ファッション会の変遷、大きな社会改革、女性の自由、各時代の著名な写真家とのコラボレーションなどを通して、1865年から今日に至るまでのエレガンスの変化を振り返る。
     
    会期/2015年10月9日(金)~10月20日(火)
    会場/パレ・ロワイヤル広場

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