赤線、青線、白線という言葉をご存知ですか？　戦後から売春防止法ができる1958年まで、公認・もぐりで売春が行われていた地域の俗称です。私は、今回ご紹介する「カストリ書房」についての記事を読んで初めて知りました。赤線や遊郭、歓楽街についての資料や文献を専門に扱うのが、元赤線区域である吉原のド真ん中にあるカストリ書房。春画がアートとして成立するように、遊郭の歴史をサブカルとして後世に残していこう！というポジティブで健康的な姿勢の書店です。

吉原は、煌々と輝くソープランドのネオン看板と、東東京の下町情緒が混ざり合った異空間。カストリ書房も、暖簾と引き戸が迎える風情ある店構えが古民家カフェのよう。4畳ほどのかわいらしい店内は、明るく清潔でおしゃれ感も漂い、女性も気軽に入れそう（実際に20代～30代の女性のお客様も多いとのこと）。遊郭案内本や歴史書、ルポルタージュといったものから、ラブホガイドなどカップルでも楽しめそうな書籍が並びます。

今回は店主にお伺いして、女性に人気の2冊と、気になった古本を購入。『昭和エロ本 描き文字コレクション』（カストリ出版刊）は、コンピューターグラフィックが一般的になる前に活躍した、描き文字職人によるエロ本タイトルを集めた作品集です。現代のタイポグラフィーにはない独特なタッチが素晴らしいのですが、洒落（ダジャレ？）が効いたタイトルもジワる……。

『全国女性街ガイド』（カストリ出版）は、名刺サイズの豆本を購入。戦後に存在した全国の売春街約350箇所を取材しまとめた文献で、入手困難だったものをカストリ書房を運営するカストリ出版が復刻・再版させたものだそう。お土産やネタにと、こちらも手に取りやすい。

最近ニュースサイトで記事を読んで衝撃を受けた、近年増加しているという、アラフォー・アラフィフの売春に関するルポ『熟年売春』（ミリオン出版刊）は中古で購入。新刊にこだわらず、お店のコンセプトに合った古本も販売しています。

カストリ書房を調べているときに知ったギャラリーショップ、「岡野弥生商店」もついでに訪問。吉原から浅草方面へ歩いた場所にある、吉原生まれ、吉原育ちの美人店主、岡野弥生さんがデザインするスーベニアブランド「新吉原」のお店です。吉原の艶っぽい歴史をデザインに落とし込んだグッズは、おしゃれかつジョークが効いててエロかわ！　この日はステッカーとフローティングペンを購入。手ぬぐいも欲しかったのですが、持ち金が足りなかった（クレカ使えないのでご注意を！）。粋な東京土産として、海外の方にも気に入ってもらえそう！

「新吉原」は、浅草に4月1日にオープンしたばかりのモダン江戸前ホテル、「ワイアード ホテル」の一部内装やお土産も手掛けたそう。ドライヤーを入れるための巾着がかわいい！

ドライヤー入れとして作った 巾着、大好評につき #wiredhotel で販売決定٩( 'ω' )و #新吉原 #shinyoshiwara #お土産

Yayoi Okanoさん(@shin_yoshiwara_yayoi)がシェアした投稿 - 2017 4月 1 7:10午後 PDT

女一人で歩いた吉原でしたが、個人的な意見としては治安が悪いと感じませんでした。カストリ書房周辺の吉原大門は、送迎の車やタクシーがひっきりなしに出入りして、道端には客引きのボーイたちがちらほら。あとはご高齢の方が散歩していたりと、平和でゆったりとした空気が流れていました。新宿・歌舞伎町や渋谷・円山町付近の繁華街っぽい雰囲気もありません。のんびり女友達との下町散歩や、デートで訪れるのも楽しいかも。

■カストリ書房
東京都台東区千束4-11-12
http://kastoribookstore.blogspot.jp/

■岡野弥生商店
東京都台東区西浅草3−27−10-102
http://www.shin-yoshiwara.com/